冬が訪れるとスープパスタが恋しくなる。日本人なのにマンマが恋しくなる。そんなときにはスープパスタ。忘年会や新年会の強い味方。二日酔いにも最高な酔いどれ天使のスパゲッティ。
- スープパスタの歴史
- ほうれん草と鶏肉のスープパスタ
- ブロッコリーとトマトのスープパスタ
- ジャガイモとインゲンのスープパスタ
- 和風スープパスタ
- トマト缶とベーコンのスープパスタ
- スープパスタにまつわるエトセトラ
スープパスタの歴史
スープパスタの発祥はハッキリしていないが、すでに13世紀頃にはイタリアでパスタをスープに入れる食べ方が行われていた。古代ローマ時代に食べられていたパスタの起源である「プルス」が小麦などの穀物を細かく砕き、お粥状にしたものであり、そもそもパスタのはじまりはスープパスタだったとも言える。日本でスープパスタが市民権を得たのが平成になってからなのでニューウェーブの印象が強いが、パスタの先祖はスープパスタだったのだ。
美味しさのコツは素材と塩の旨味を信じる
スープパスタを美味しく作るコツは一つ。塩と素材の旨味を信じる。後半でうま味調味料を使ったスープパスタも紹介するが、塩と具材だけのスープパスタのほうが美味しい。スープパスタは具材をしっかりグツグツ煮込む、ぐりとぐら(知らない人は読んでね)。素材の旨味がスープとパスタに染み込むので、調味料が要らない。調味料がないほうが美味しい。ワンパン(リゾッタータ)は調味料があったほうが美味しいのに不思議。あまりに調味料がなく不安になると思うが、信じて作ってみてほしい。
ほうれん草と鶏肉のスープパスタ
最初に紹介するのはほうれん草と鶏肉のスープパスタ。イタリア語にすると「Minestrina con spinaci e pollo」。イタリア人シェフのマルコさんのマンマの味。少ない食材でビックリするほど美味しく温まる。
ほうれん草と鶏肉のスープパスタの材料
- カサレッチェ:100g
- 鶏モモ肉:300g
- ほうれん草:3束くらい
- パルミジャーノ・レッジャーノ:30g
- カラブリア唐辛子:2本(無くてもOK)
- 水:800cc
2人前の量。1人前の場合は半分で。パスタは何でもOK。後ほど紹介するが、マルコさんはロングパスタをバキバキに折って使う。肉やホウレン草の量はお好みでOK。このスープパスタは塩の力が旨味。辛いのが苦手な方はカラブリア唐辛子は無しでOK。あったほうが旨味になって温まるのでおすすめ。
おすすめはS字カーブの形をしたショートパスタ「カサレッチェ」。casarecceと書き「カザレッチェ」とも呼ばれる。イタリア南部シチリア州の伝統ショートパスタ。イタリア語で「家庭の」「手作りの」という、やさしくなれるショートパスタ。ソースとの絡みがよく、ブンブンチョッパーでソースを作るので「手作り」にこだわってみた。パスタのバラエティを象徴するカサレッチェを一度食べて欲しい。
ほうれん草と鶏肉スープパスタのレシピ
- ほうれん草の茎をみじん切り
- ほうれん草の葉はざっくり切る
- 鍋に水と鶏肉を入れて沸かす
- 鍋に塩2つまみを入れてチーズを削る
- 鶏肉の灰汁を取る
- ほうれん草を全部入れる
- 沸騰したらパスタを入れる
- カラブリア唐辛子を入れる
- パスタを茹でたら蓋して3分休ませる
- オリーブオイルを回しかけてチーズin
- お皿に盛って追いチーズで完成
ほうれん草はよく洗って茎と葉に因数分解。茎は細かくみじん切り、葉はざっくり切るだけでOK。想像以上に土があるので、よく洗おう。
鍋に水を入れて鶏肉を全部ぶち込んで沸騰させる。塩を2つまみ入れる。
その間にパルミジャーノ・レッジャーノを削っておく。
鶏肉がグツグツ煮えて灰汁が出てきたら除去する。
灰汁を取ったらほうれん草を全部ぶち込む。
再び沸騰したらパスタを入れる。茹で時間通り茹でる。
カラブリア唐辛子を入れる。
パスタを時間通りに茹でたら火を止めて蓋をする。3分間スープパスタを休ませる。
削ったチーズを入れてよく混ぜる。固まらないように魔法陣グルグルのように混ぜる。
お皿に盛ってチーズを削って完成。マジでコレだけでアレより美味しくなる。
ほうれん草と鶏肉のスープパスタの食材
折ったパスタのレシピ
マルコさんはパスタをバッキバキに折って使う。
ちなみに有塩バターを入れてみたけどスマッシュヒット。超絶美味しいのでおすすめ。
カサレッチェの代わりに入れるだけ。
これも超美味しいのでぜひ。
ほうれん草を使ったパスタ
ブロッコリーとトマトのスープパスタ
TRFの寒い夜だからスープパスタを作ろう。明日を待ち侘びて。そんな時にピッタリなブロッコリーとトマトのスープパスタ。イタリア人シェフ・マルコさんのマンマやグラン・マンマのスープパスタ。とても傷ついた羽を癒してくれる。シナモンロールのパンと一緒に食べよう。
ブロッコリーとトマトのパスタの材料
- フジッリ:100g
- ブロッコリー:1/4株
- トマト缶:200g
- カラブリア唐辛子:2本
- ニンニク:2片
- イタリアンパセリ:1束
- パルミジャーノ・レッジャーノ:20g
- 水:350ml
- モティアの海塩:大さじ1.5
パスタはショートパスタがおすすめ。マルコさんの家ではフジッリかペンネだった。ロングのスパゲティで作ってもOK。要はなんでもいい。トマト缶はホールでもカットでもOK。ペーストにするので、トマトピューレでもトマトペーストでもいい。ニンニクは2片。写真には1片しかないが、心の目で見てほしい(たまたまニンニクが切れていた)。ニンニクは絶対に2片。イタリアンパセリはなくてもいいが、チーズはマスト。無いと旨みが足りない。そして重要なのが塩。スープパスタは大量の水で薄まってしまうので塩を加えることを忘れずに。伯方の塩でいいが、おすすめはモティアの海塩。
地中海の海水を塩田に引き込み、太陽と風だけでゆっくりと蒸発させ結晶にした塩。
ブロッコリーとトマトのパスタのレシピ
マルコさんは2人前のレシピなので分量は半分にしている。完コピしたい方は動画を参考に。
- ブロッコリーを超テキトーに切る
- 鍋にオリーブオイルを引いてニンニクを炒める
- ニンニクを潰して唐辛子を入れる
- 色づいてきたらトマト缶を煮詰める
- ペーストになったら水と塩を入れる
- ブロッコリー、パスタを入れる
- 茹でたら蓋をして3分寝かせる
- イタパセ、チーズを削って混ぜる
ブロッコリーはテキトーに切る。高田純次もビビるくらいテキトーでOK。マルコさんのお婆さんは、まな板を使わない人だったので、ちぎってテキトーに入れてたらしい。
ストウブの鍋にオリーブオイルを引いてニンニクをそのまま炒める。
ニンニクが柔らかくなったらフォークで潰して唐辛子を入れる。このフォーク潰しが快感の人も多い。面倒くさかったらニンニクをすりおろしてもいい。
ニンニクがボディビルダー色になりかけてオイルに香りが移ったらトマト缶を入れて煮詰める。
トマト缶の水分が飛ぶまで強火で煮詰める。
水700mlと塩も大さじ1くらい入れる。この時点で味見しても塩が浸透していないので意味なし。
沸騰したらブロッコリーを全部入れる。沸騰したら、この時点で味見して塩を足す。
続けてパスタも全部入れる。パスタは表示時間どおり茹でる。この間にイタリアンパセリをちぎって、チーズを削っておくといい。
パスタを茹でたら火を止めて蓋をして3分間、寝かせる。
ちぎったイタリアンパセリを散らす。
チーズをたっぷり20g削る。ゴムヘラなどで、よ〜く混ぜる。
最後に味見して薄ければ塩を足そう。
おすすめはシナモンロールと一緒に。これが合うんだわ。
ブロッコリーとトマトのスープパスタの食材
ブロッコリーが余ったらペペロンチーノを作ろう
ジャガイモとインゲンのスープパスタ
まだまだ止まらないマルコさんのマンマのスープパスタ。今回は正真正銘のカラブリア郷土料理。カラブリア唐辛子を使った体を火照らせるスープパスタ。作り方超簡単。
ジャガイモとインゲンのパスタの材料
- リングイネ:100g
- カラブリア唐辛子:2本
- インゲン豆:1パック
- ホールトマト缶:150g
- じゃがいも:1個
- にんにく:1片
- 水:450ml
- 塩:大さじ2/3
パスタはロングパスタであれば何でもOK。今回はリングイネにしたがマルコさんのマンマはブカティーニ(うどんのように太い穴あきのパスタ)を使われていた。必須はカラブリア唐辛子。これがないと郷土料理にならない。日本の唐辛子は旨味が少なく辛味が強い。それでは美味しいパスタは難しい。本数はお好みで。超辛いものが好きなら3本(相当の辛さ)、少しマイルドにしたかったら1本で。もう一つの命が塩。トマト以外に旨味が少ないので、塩ラーメンのようにしっかり効かす。大さじ2/3くらい入れる。
ジャガイモとインゲンのパスタのレシピ
動画はもちろん、スープパスタの神・マルコさん。ぜひ動画もご覧あれ。
- じゃがいもの皮を剥き斬る
- インゲンも適当に切る
- ニンニクをオリーブオイルで炒める
- 色づきはじめたら唐辛子を入れる
- ホールトマトを水分が飛ぶまで炒める
- 水と塩、ジャガイモを入れて沸騰させる
- パスタとインゲンを茹でる
- 火を止めて3分間蓋をする
- お皿に盛って完成
じゃがいもはジャガジャガ洗ってピーラーで皮を剥き、高田純次くらいテキトーに切る。ゴッホの『ジャガイモを食べる人々』を思い出しながら。
インゲン豆もザキヤマくらい超テキトーに切る。
ストウブの鍋にオリーブオイルを引いてニンニクをそのままダイブ。弱火で熱して柔らかくなってきたらフォークなどでクラッシュ。ボディビルダー色になってきたら唐辛子を投入。
トマト缶150gくらいを入れて強火に。トマトの水分をぶっ飛ばす。
こんな感じで水分が飛んでペーストになるまで加熱。
水450cc、塩、ジャガイモを入れて沸騰させる。
インゲン豆とパスタをぶち込む。
表示時間どおりに茹でたらOK。
火を止めて蓋をして3分ほど寝かせる。
皿に盛ってフィニッシュ。なんの小細工もなし。これだけでカラブリアの熱い風が吹く。
ジャガイモとインゲンのスープパスタの食材
和風スープパスタ
ちょっと夜更かしした翌朝、お酒を飲みすぎた翌朝なんかは軽くて「やさしい」ものが食べたい。スープパスタなんてどうでしょう?しかも和風で。寒い日には体が温まるし、出汁をすすると、やさしさが口にフワッと広がる。二日酔いにピッタリな酔いどれ天使。やさしさに包まれたなら。
和風スープパスタの材料
- カペッリーニ:50g
- カツオ節:3g
- 味の素…4振り
- 鮎の魚醤:小さじ1(醤油でもOK)
- みりん:小さじ1
- 料理酒:大さじ1
- 白ごま:適量
- 小ネギ:適量
- からし:適量
レシピの考案者リュウジさんはパスタではなくマロニーで作った。そもそもが、おでんの出汁を作る食材にリュウジさんがマロニーを入れた。それをパスタに変換したダブル・アレンジ。二重スパイみたいなもん。ネギとカラシはなくても良いけど、あったほうがおすすめ。鮎の魚醤がなければ醤油で。
和風スープパスタに合うカペッリーニ
和風スープパスタに合うのが極細のカペッリーニ(capellini)。太さが1.2mmくらいの極細麺(スパゲッティは1.9mm〜2.2mm)で、素麺(1.3mm)とほぼ同じ。イタリアの素麺とも言える。カペッリーニの由来はイタリア語の「髪の毛(capelli)」であり、英語圏ではエンジェルヘア(天使の髪の毛)とも呼ばれる。茹で時間が3分前後でカップヌードルと同じ。手軽に作れ、冷製パスタによく使われる。日本では間違って「カッペリーニ」と呼ばれるが、綴りが「capellini」なので、カペッリーニが正しい。
カペッリーニは「プルネッラ」
カペッリーニのおすすめは「ブルネッラ」。高級な「ルスティケーラ」からラ・モリサーナなど色んなカペッリーニを試して、ようやく辿り着いた。パスタ発祥の地・グラニャーノ地方のメーカー。テフロンダイス加工(表面がツルツルしたパスタ)なので、SUSURU TVにピッタリ。他のメーカーは表面がザラザラしているブロンズダイス加工なので極細麺には食感が悪い。プルネッラは3分茹でなのでカップヌードルと同じ。
和風スープパスタのレシピ
- フライパンに水300ccを入れて沸かす
- 鰹節、味の素、塩小さじ1/2、醤油、みりん、酒を一気呵成に入れる
- 沸騰したらカペッリーニもダイブする
- 3分茹でてお椀に入れる
- 上から小ねぎ、からしをつけて完成
フライパンで茹でるリゾッタータ。洗い物も少なく超便利。味だけじゃなく、後片付けも二日酔いにやさしい酔いどれ天使。黒澤明にも食べてもらいたい、斉藤和義のように「やさしくなりたい」ときに使ってほしい。
↓カペッリーニの和風スープパスタの食材↓
トマト缶とベーコンのスープパスタ
まいばすけっと、スーパーの食材だけで作れるスープパスタを紹介。超手軽、フライパンで作れる。
トマト缶とベーコンのパスタの材料
- ペンネ:100g
- トマトホール缶:1/2缶
- ベーコン:40g
- ニンニク:1片
- コンソメ:大さじ1
- 水:350ml
- コショウ:たっぷり
パスタはなんでもOK。ロングパスタでもいい。気分次第。コショウも苦手なら入れなくてよし。トマト缶はトマトピューレでも良い。
トマト缶とベーコンのパスタのレシピ
- ニンニクみじん切り、ベーコン短冊切り
- オリーブオイルでベーコン、ニンニク炒める
- トマト缶にコンソメ、塩、胡椒を混ぜる
- 水350cc、塩2つまみ入れてペンネを茹でる
- トマト缶のソースを入れて3分間煮る
- 皿に盛ってコショウをヌートバーする
ニンニクはみじん切り、ベーコンはテキトーに切る。
フライパンにオリーブオイルを引いてベーコンとニンニクを弱火で炒める。
トマト缶にコンソメ大さじ1、塩を小さじ1、コショウをたっぷり入れて混ぜる。
ベーコンに焼き色がついてパチパチ跳ねてきたら水350ccと塩2つまみを入れる。
お湯が沸いたらペンネを入れて強火で表示時間どおり茹でる。
表示時間どおり茹でてお湯が残っててもOK。
トマト缶のソースを入れてプラス3分間に詰める。
トマト缶のソースを飛ばし、よく混ぜる。
お皿に盛ってコショウをたっぷりヌートバー。
トマト缶とベーコンのスープパスタの食材
スープパスタにまつわるエトセトラ
玉ねぎとトマトのスープパスタ(朝食)
朝食にぴったりなスープパスタ。ユーミンなみのやさしさに包まれる。
玉ねぎとトマトのスープパスタの材料
- バリラ1.4mm:70g
- 玉ねぎ:2個(大きい場合は1個)
- トマト:1個
- 卵:1個
- 塩:たっぷり(大さじ1くらい)
- 水:150ml
玉ねぎとトマトのスープパスタのレシピ
- 玉ねぎを大きめにスライス
- 玉ねぎをオリーブオイルで炒める
- トマトをざっくり切る
- 塩を振ってトマトも炒める
- トマトに塩を振って水を入れる
- パスタを入れて蓋して10分蒸す
- 生卵を入れて3分蓋をする
- 皿に盛ってオリーブオイルか塩
コムタンの韓国風スープパスタ
釜山名物コムタン(牛煮込みスープ)のスープパスタ。
コムタンの韓国風スープパスタの材料
- マカロニ:100g
- コムタンの素:40g(2個)
- 水:500ml
- 牛すじ:150g(無くても可)
- ごま油:小さじ1
- 韓国海苔:4枚(無くてOK)
コムタンの韓国風スープパスタのレシピ
- コムタンのスープを沸かす
- 牛すじを30分近く煮込む
- パスタを入れて茹でる
- 火を止め胡麻油、韓国海苔を入れる
- お皿に盛って完成
トマト麺つゆスープパスタ
トマト麺つゆスープパスタの材料
- カペッリーニ:100g
- にんにく:2片
- トマトペースト:大さじ2
- 乾燥バジル たっぷり
- 麺つゆ:大さじ2
- ピンク岩塩:仕上げ
- タバスコ:仕上げ
- 水:350ml
トマト麺つゆスープパスタのレシピ
- ニンニクを潰してオイルで炒める
- トマトペーストも加えて炒める
- 水、麺つゆ、塩、バジル、パスタを茹でる
- お皿に盛って、岩塩、タバスコをかける
パスタの調味料と道具にこだわれば人生が変わる
最後までご覧いただき、あリガトーニ。