ジェノベーゼは日本で市民権を得ているが、トラパネーゼを飲食店で見ることはない。レトルト食品を見かけることも人生で一度もない。どちらも具材をミキサーにかけるだけ。北のジェノベーゼ、南のトラパネーゼ。北斗神拳vs.南斗聖拳。リコピン大魔王としてトラパネーゼの存在をぜひ知ってほしい。
トラパネーゼの歴史
トラパネーゼの正式名称はペスト・アッラ・トラパネーゼ( Pesto alla trapanese)。訳すると「トラパニ風のペースト」。材料はバジル、トマト、アーモンド、ニンニク、オリーブオイルが基本のソース。ペコリーノ・ロマーノを入れる場合もある。イタリアでは揚げナスや揚げたポテト、ズッキーニなどにかけることが多い。パスタにするときは「ブジアーテ」という、ねじれ形の棒のようなショートパスタで食べる。
名前の意味
トラパネーゼのネーゼは「〇〇風」のこと。ボロネーゼは「ボローニャ風」、ジェノベーゼは「ジェノバ風」、ジャポネーゼは「日本風」。だからトラパネーゼは「トラパニ風」になる。
トラパネーゼの発祥
トラパネーゼの発祥は地中海の港湾都市「トラパニ」。シチリア島の内陸部にあるコルレオーネ村から近い。ゴッドファーザーのヴィトーも幼い頃からトラパネーゼを食べて育っただろう。シチリア島に身を隠したマイケルも食べたかもしれない。材料や作り方がジェノベーゼと似ているのも当然。トラパネーゼはジェノヴァの船がトラパニの港に停泊し、船員からジェノベーゼを教えてもらった地元の人がトマトとアーモンドを使って中世に生み出したと言われる。海沿いの街の交流が生んだ海岸物語。シチリア愛の唄である。ジェノベーゼと交互に食べ比べて欲しい。
トラパネーゼ(ブジアーテ)
トラパネーゼの調理法は主に2種類ある。次に紹介するフードプロセッサーだけのほうは火を通さない。フレッシュな爽やかさがある。今回はミニトマトに火を入れる。旨味がギュッと業種する。
トラパネーゼ(ブジアーテ)の材料
- ブジアーテ:100g
- アーモンド :50g
- ミニトマト: 100g
- バジル:1パック
- ニンニク:2片
- グラナ・パダーノ:仕上げ
シチリアでは「パキーノトマト」と呼ばれるミニトマトを使うが、手に入らないので普通のミニトマトで。アーモンドのカリカリとブジアーテのモチモチの食感が相性良し。
トラパネーゼ(ブジアーテ)のレシピ
参考にしたのはファビオさん。ファビオさんはブレンダーを使ったが家にないのでフードプロセッサーで。家にある人は動画を参考に。ファビオさんは先にアーモンドを炒る。
バジルを茎と葉に分ける
- ニンニクは潰すだけ
- ミニトマトを半分に切る
- ニンニクとバジルの茎を炒める
- バジルの茎をとってトマトを炒める
- 塩、バジルの葉、アーモンドも入れる
- トマトが崩れて柔らかくなったらミキサー
- ブジアーテも茹でておく
- ソースとブジアーテを混ぜる
- お皿に盛ってチーズでフィニッシュ
ニンニクは潰す。バジルは茎と葉を分ける。
ニンニクとバジルの茎を炒める。最初は強火で、沸騰したら弱火で。
ニンニクが色づいたらバジルの茎に退場してもらい、アーモンド、トマト、バジルの葉を入れる。
塩を3つまみくらいかけてトマトが柔らかくなるまで混ぜる。ブジアーテも茹で始める。
アルミパンの材料を全部ミキサー。
ちょっとアーモンドを残してもカリカリして美味しい。
フライパンに移して茹で汁で伸ばす。
茹でたブジアーテを入れて混ぜる。
お皿に盛ってオリーブオイルを回しかけ、チーズを削って完成。
トラパネーゼの食材・道具
トラパネーゼ(スパゲティ)
ブジアーテは入手が一苦労なので、簡単なトラパネーゼ。どんなパスタを使ってもいい。夏は冷製パスタにしてもいい。
トラパネーゼの材料
- 1.9mmのパスタ:100g
- アーモンド:50g
- バジル:12〜20枚
- ニンニク:1片
- オリーブオイル:大さじ2
- グラナ・パダーノ:10g
- トマト:中2個(トマト缶は1/2缶)
- 黒胡椒:10ヌートバー
代替えがきかないのはアーモンドぐらい。その他は自由行動、雲のジュウザ。トマト缶やトマトピューレでもいい。日本競馬史に輝くアーモンドアイにも食べてもらいたい。
トラパネーゼのレシピ
- アーモンドを刻む
- ニンニク、トマトをざっくり切る
- パスタを茹ではじめる
- 材料を全部フードプロセッサー送り
- トラパネーゼのソースを温める
- 茹でたパスタを混ぜる
- お皿に盛ってチーズとバジルを飾る
材料や作り方が異なるが、参考にさせてもらったのがAOSの青木さん。青木さんはトマトの量が多く、クイジナート(フードプロセッサー)ではなくミキサーで作った。
アーモンドを刻む。何のためのフープロやねんと真っ当なツッコミが入るが、材料を刻んで入れたほうが滑らかになりやすい。刃も傷まない。面倒くさい人は省いてOK。
ニンニクもみじん切り、トマトもテキトーに切る。
クイジナートにバジルの葉、トマト、ニンニク、アーモンド、チーズ、塩ひとつまみ、胡椒10ヌートバーくらい、オリーブオイル大さじ2を入れてスイッチオン。
ペースト状になるまでフードプロセッサーする。
茹でたパスタを、そのまま入れてもOKだが、ソースを温めると美味しくなる。
茹でたパスタを入れて混ぜるだけ。
お皿に盛って胡椒、チーズを削ってバジルの葉を飾る。
トラパネーゼの食材と道具
冷製トラパネーゼ(トマトピューレ)
猛暑も残暑も冷製トラパネーゼ。あらゆるワインに合う最強のワイン・マリアージュ。
冷製トラパネーゼの材料
-
ブジアーテ:100g
-
アーモンド&ミックスナッツ :50g
-
トマトピューレ: 100ml
-
バジル:1パック
-
ニンニク:1片
- オリーブオイル:30ml
- 塩:ひとつまみ
麺は普通のパスタでOK。トマトピューレはトマト缶でも丸ごとトマト、ミニトマトでもOK。お好みでチーズを足してもいい。せっかくなのでミックスナッツも混ぜてみたけど、トラ・トラ・トラ。ドッキリ大成功。単調な味を複雑にしてくれる。お試しあれ。
冷製トラパネーゼのレシピ
- アーモンド、ニンニクを刻む
- 材料を全部ブンブンチョッパー
- トラパネーゼのソースを冷やす
- 茹でたパスタを冷水で締める
- お皿に盛ってオリーブオイル
アーモンドとミックスナッツ、ニンニクを刻んだほうがブンブンチョップするのが楽。
バジルをちぎってブンブンチョッパーに入れる。
トマトピューレ100mlとオリーブオイル30mlを入れる。
ブンブンチョッパーでブンブンチョップする。
茹でて冷水や氷水で締めた麺と絡ませる。
皿に盛ってオリーブオイルを回しかける。
ワインに合う。白、赤、スパークリング、ロゼスパークリング、なんでも合う。
冷製トラパネーゼの食材・道具
レトルトのトラパネーゼソース
なんとトラパネーゼをレトルトのパスタソースにする強者がいた。マルエツ、カスミ、マックスバリュの食品3社が開発したプライベートブランドのパスタ商品。「eat」と「time」を合わせて「eatime」。パスタ文化を日本に広める精神は見事。
eatimeの良いところは麺をすること。現地のトラパネーゼはブジアーテというショートパスタで食べるが、そんなん持ってる人が珍しいのでマルエツで買えるカサレッチェを指名してきた。やや色が赤いがとラパネーゼみある。アーモンド感ある。
最後までご覧いただき、あリガトーニ。