鍋で沸かして茹でた麺と絡めるだけで美味しいパスタができる。そんなエルドラドが存在から。《青の洞窟》《LA BETTOLA》《eatime》のパスタソース。インディ・ジョーンズ、いやモンタナ・ジョーンズとなってパスタの洞窟を探検しよう。青騎士vs.ダークナイトの幕が開ける。パスタソース青黒歌合戦。
青の洞窟パスタソース
1995年に誕生した「青の洞窟」シリーズ。青は地中海の深遠なブルーを、洞窟は奥深さを表現したオシャレなパスタソース。日清製粉ウェルナが手がける。もともと青の洞窟は世界中に存在する本当の洞窟。カプリ島、地中海やアドリア海、日本でも沖縄、岩手、北海道にもある。太陽が海底に反射し、青色の光だけが洞窟の中に届くので海面が青く見える。パスタソースは現在15種類以上。今後も増えていくだろう。
ペペロンチーノ
冒険の始まりはペペロンチーノから。
電子レンジも鍋もいらない。茹でたパスタとソースを混ぜて、最後にトッピングを振りかけるだけ。ペペロンチーノにラブソングを。
正直、パスタは塩茹でしなくていいくらい味が濃厚。今回はボウルで混ぜたが、皿に乗せてから混ぜ混ぜしてもいい。
味変ドリクスにオリーブオイル、ほりにし、藻塩を用意していたが不要。これだけで完結。超濃厚。続編、シリーズ化不要の映画のようなもの。『キッズ・リターン』や『座頭市物語』と同じ。
ボロネーゼ
2品目はボロネーゼ。日本では「ミートソース」の呼び方が浸透している。ボロネーゼはボローニャ風という意味のパスタ。正式には「ボロニェーゼ」で舌を噛みそうになる。材料はミートソースと同じ。
ボロネーゼ(ミートソース)は美味しいが、いかんせん手間がかかる。材料も多い。それがレトルトで再現できるなら奇跡。
パスタを茹で、青の洞窟のパスタソースを鍋で4分温めて混ぜる。麺はフェットチーネを使った。イタリアでは平打ち麺を使わないと「ボロネーゼ」と認めない保守派が多い。
所詮はレトルトと馬鹿にするなかれ。トマトやワインの酸味がちゃんと仕事してミートソースの上をいく。限りなくボロネーゼに近い褐色。レトルトでこの美味しさは脱帽。ズボラ飯の強い味方。
カルボナーラ
パスタ界のアイドル・カルボナーラ。結論から言うと、おったまげた。びっくり仰天。まあ、美味しい。青の洞窟の最高傑作。青と黄。ゴッホの世界。夜のカフェテラス、星月夜。
茹でたパスタと温めたソースを混ぜるだけ。今回は太麺のブカティーニ。これがトラトラトラ。
トゥルットゥルーのクリーミー。チーズの甘さが、ひまわりの花を咲かす。パンチが欲しい方は胡椒をヌートバー、ほりにしを足してもいい。
アラビアータ
怒りん坊アラビータ。不味かったらアラビアータに怒られる。かなり酸味が効いている。王道にのっとってペンネと和えてもいいかもしれない。
超太麺のブカティーニ。ソースが強いので太麺かショートパスタがおすすめ。
ふりかけのイタリアンパセリでフィニッシュ。酸味が苦手な人は、ほりにしをプラス。
海老と帆立のトマトクリーム
海老と帆立のトマトクリームパスタ。超リッチ。値段が他と同じ。ホンマかいな。
ソースから魚介エキスの匂いが漂う。タリアテッレの平打ち麺を使った。
普通に美味しいトマトパスタ。クリームパスタ感はない。レトルトでは仕方ない。帆立や海老も風味はするが旨味は感じない。それも仕方なし。まあまあ美味しい。
イカスミのソース
電子レンジか鍋で温める。今回はレンチン。
落合シェフの鍋で温めるタイプではなく、電子レンジで20秒チンするだけの時短王。
材料はトマトペースト、アンチョビーソース、ニンニクの香りと落合シェフとほぼ同じ。温めてパスタと混ぜるだけの最強簡単レシピ。
イタリアンパセリではなく大葉を乗せてみたけど、スマッシュヒット。超うますぎ。味は落合シェフに比べると、イカ墨のパンチはなく、癖の強いパスタが苦手な人やお子様でも食べやすい万人受けの印象。ぜひ食べ比べてください。
ジェノベーゼ
パスタソースの中でも最難関のジェノベーゼ。自分でバジルをミキサーしたものを食べてしまうと、出来合いのソースでは風味が足りず、逆に誤魔化そうと味付けが濃くなる。残念ながら逸品の多い青の洞窟も後者。
ややジェノベーゼにしては色が濃い。バジルの風味を塩でカバーしようとしているのか、かなりしょっぱい。塩魔大王ですらファイティング・ポーズをとってしまう。塩分控えめの方は覚悟して召し上がりください。これくらいパンチがあるほうが好きな人もいるので食べる人を選ぶソース。
味をまろやかにするため、ひたすらチーズを削りまくりました。
ジェノベーゼソースの味が濃いので緩和するためにショートパスタが最高。これで丁度いい塩梅になる。フジッリと組み合わせるとかなり美味しい。
ポモドーロ
満を持してのポモドーロ。実力を測るにはピッタリのパスタソース。
トッピングにイタリアンパセリがついている。
やはり酸味は強い。レトルトのトマトソースで甘みは難しいのか、あえてなのか。ただしバランスは取れている。まあまあの味。イタリアンパセリは飾り。風味はまったくない。完全な彩り。イタリアンパセリは生でないと意味がない。
ボンゴレビアンコ
作るのが面倒くさく、レトルトであると助かるボンゴレ・ビアンコ。トッピングにガーリックチップスとイタリアンパセリがついている。
白ワインと合う。塩味がちょうど良くアサリの旨味を引き立てる。レトルトの中でかなりレベルの高い逸品。
トリュフ香るきのこボロネーゼ
これまたリッチにも程がある。レトルトにしては不適切にも程がある「トリュフ香るきのこボロネーゼ」。ボロネーゼになっているが、実質はボスカイオーラ。日本でボスカイオーラと言っても知らないのでボロネーゼにしているだけ。
そこまでトリュフは香らない。きのこ感もない。普通に美味しいクリーミーなボロネーゼとして味わってください。味は美味しい。ボロネーゼが濃すぎる方はおすすめ。
ズワイ蟹のトマトクリーム
青の洞窟、最終兵器。旨味たっぷりのズワイ蟹とトマトクリームを持ってきた。
蟹の風味はする。家で食べるミートソースじゃなく、外食感たっぷり。ワインと合わせると、さらに特別感が増す。青の洞窟、これにてfin。
LA BETTOLA(落合務)のパスタソース
落合務シェフ監修のパスタソース。食卓を名店に変える。1997年に銀座で創業したLA BETTOLA(ラ・ベットラ)。LA BETTOLAの意味は”食堂”。お店の味の世界観を再現した10種類のレトルトのパスタソースがある。『青の洞窟』は日清製粉ウェルナ、『LA BETTOLA』はエスビー食品が手がける。
カルボナーラ
まずは不動の一番人気カルボナーラ。青の洞窟のクリーミーさにどう対抗するか。
レンジでチンするか鍋で3〜5分あたためる。
ペッパーの香りがする。
胡椒のキレが見事。ヌートバー降臨。クリームパスタとしての美味しさなら青の洞窟が上。カルボナーラの再現度では100ゼロでラ・ベットラ。
味変ドリクス
自分で純胡椒を足すと最強の味が完成。ぜひ試してほしい。
いかすみソース
イカスミパスタを作るのは大変だから外食のときだけ食べる人も多い。そんな人には落合務シェフのイカ墨パスタソースを試して欲しい。たった258円で超美味しい。
原材料を見ると、トマトジュースやニンニク、アンチョビ、白ワインなど本格的。ちゃんとしたパスタを使えば、家族などに出せば感動されるレベル。作り方も鬼のように簡単で、ソースを5分間、沸騰した温泉につけるだけ。
あとはパスタを茹でてソースとボウルで混ぜるだけ。
イカ墨の臭みがなく、とても上品。サイゼリアさんと遜色ないか、それより美味しいレベル。イタリアンパセリなんか乗せるとオシャレ。ミニトマトかミョウガでもいい。最強はミョウガ。美味しいオリーブオイルを回しかけてもいい。とにかくパスタだけはこだわろう。おすすめは2.4mmの太麺。
↓↓イカ墨パスタの食材↓↓
ボロネーゼ(メディチ家風)
作るのが面倒くさく、レトルトのパスタソースが大活躍するボロネーゼ。落合シェフは普通のボロネーゼで飽き足らず、生クリームボロネーゼを持ってきた。何やら「メディチ家風」というキラーフレーズが。定かではないが、「ミートソースとホワイトソースを混ぜたボロネーゼ」をメディチ家風と呼ぶらしい。
気持ちクリーミー、ボロネーゼだけどトマトの主張が強い。V6の『学校へ行こう!』の未成年の主張のような清々しさ。落合務シェフは個性の強いレトルトのソースを届けてくれるから気持ちいい。
ポモドーロ
レトルトのパスタソースでジェノベーゼと並んでハードルが高い「ポモドーロ」。トマトソースではなく、ポモドーロにしているのもアレンジメニューに「カッチャトーラ」を勧めているのがさすが。
トッピングにパルメザンチーズもついている。パルメザンはパルミジャーノではなく粉チーズのこと。
マッターホルンみたいに盛ったった。ゴロゴロ果肉、強烈なトマトの酸味。完全にリコピン大魔王向け。レトルトはこれくらいコンセプトと個性がハッキリしてるほうが良き。攻めに攻めまくった落合シェフに拍手。とにかく酸っぱい。
からすみのアーリオ・オーリオ
これまた強気に出た。高級食材のからすみ。ほんまかいな。それよりアーリオ・オーリオのソースを茹でるかレンチンは初めて。普通は青の洞窟のように、ふりかけのようになっている。
ちゃんとトッピングついている。
ひらたけ、舞茸な食感も良いアクセント。そこまでカラスミ感はない。例えるなら日清のUFO焼きそばの塩(ソースではなく)を食べている感じ。
トリュフと黒胡椒のチーズソース
レトルトソースでは珍しいカチョエペペ。これは嬉しい。「トリュフと黒胡椒のチーズソース」とオシャレなネーミング。
トッピングでチーズ胡椒がついている。
差別化を狙ったトリュフがやや臭みに感じる。クサヤみたいなもんで好きな人は好きだろう。もともと粉チーズの臭みが苦手なので、このソースはキツイ。チャレンジ精神は拍手。
アラビアータ
LA BETTOLAのラスト・ピクチャー・ショーは「アラビアータ」
トマトのゴロゴロ果肉。とにかく酸味がすごい。レモンより酸っぱいんじゃないかというレベル。妊娠中の方は最高かもしれない。
アラビアータにチーズを削るのはチートだけど味がマイルドになる。おすすめ。
青の洞窟vs.LA BETTOLA勝敗表
- ペペロンチーノ:青の洞窟
- カルボナーラ:青の洞窟
- ボロネーゼ:eatime圧勝
- アラビアータ:引き分け
- ポモドーロ:LA BETTOLA
同じパスタソースで対決した結果、5戦2勝1敗1分で「青の洞窟」に軍配が上がった。少し値段が高いだけある。さすが日清。一方のLA BETTOLAはパスタ文化を味わうには最適。メディチ家風パスタなんて初めて知った。ペペロンチーノにカラスミを使うチャレンジ精神も見事。今後もどんどん新作をリリースしてほしい。ちなみにボロネーゼは、このあと紹介するeatimeの圧勝。感動モノなので最後までご覧ください。
LA BETTOLAのエース:イカスミソース
この2つは飲食店の顔負けの味。ぜひご堪能あれ。
青の洞窟おすすめ5選
これが青の洞窟のギブミーファイブ。飲食的をも脅かす美味しさなのでストックして損はない。
青の洞窟の王者:カルボナーラ
eatimeパスタソース
eatime (イータイム)はマルエツ、カスミ、マックスバリュの食品3社が開発したプライベートブランドのパスタ商品。「eat」と「time」を合わせて「eatime」。2017年10月6日から発売された。eatime のパスタは鳥羽周作シェフが絶賛しており、パスタの聖書でもたまに使わせてもらう。パスタソースも普通ではないプッタネスカやトラパネーゼがあり、素晴らしいチャレンジ。
ジェノベーゼ
まずはハードルの高いジェノベーゼ。ジェノベーゼに必要なバジル、ニンニク、チーズはもちろん、高級食材に入る松の実まで使っている。
コロコロのじゃがいも。具があるのはうれしい。ゴッホ『ジャガイモを食べる人々』を思い出す。
バランスが良く普通に美味しい。あとはバジルのパンチがあれば完全にジェノベーゼ。これはジェノベーゼ風。レトルトでは十分っす。飲食店ですらバジルを使わず、ほうれん草や大葉など緑色の食材をブレンドしているくらいなので十分。バジルだけを使えば一日中においが残る。本当のジェノベーゼが食べたいならバジルを贅沢に使って自分で作るべし。
トラパネーゼ
これまた珍味トラパネーゼ。日本の飲食点で見かけることは少ない。トラパネーゼは「トラパニ風」の意味。シチリアにある町の名前。バジル、トマト、アーモンド、ニンニク、オリーブオイルをこねて作るソース。
eatimeの良いところは麺をすること。現地のトラパネーゼはブジアーテというショートパスタで食べるが、そんなん持ってる人が珍しいのでマルエツで買えるカサレッチェを指名してきた。やや色が赤いがとラパネーゼみある。アーモンド感ある。自分でも作って確かめてみてほしい。
プッタネスカ
好きなパスタのトップ5に入る「プッタネスカ」。日本語にすると「娼婦風パスタ」とR18のパスタ。パスタソースでは初めて見る。リングイネを指定してきたのでマルエツで買った。
ちゃんとケーパー、オリーブの酸味が強い。プッタネスカみ、ある。プッタネスカはやや材料が揃えにくいので、どんなパスタか雰囲気を確かめるのに良き。eatimeさん、いい仕事されてます。
ボロネーゼ
パスタソース紅白歌合戦。大トリを飾るのはボロネーゼ。北島サブちゃんの祭り。
びっくり。見た目のとおり肉肉しさ120%。ソースどこへ?と思うかもしれないが、安心してください。ちゃんと全体に絡んでます。とにかく肉の旨味とパスタが見事に絡まっている。青の洞窟も.LA BETTOLAも、限りなくボロネーゼに近いミートソースだったが、eatimeはちゃんとボロネーゼ。オリーブオイルをかければ良かった。
赤ワインにも合う。そもそもボロネーゼが赤ワインで煮込むので合わないわけがない。