パスタのレパートリーでスペシャリテ(自慢の得意料理)を聞かれたら「イカ墨のパスタ」と答える。これほど練習したパスタは他にない。何度も何度も来る日も来る日も作り続けた。困ったのは麺。1.7mmからスタートし、フェットチーネやリングイネ、キタッラなど、さまざまな種類と格闘してきたが、2.4mmのマンチーニがピリオドを打った。そして辿り着いた。完成した。パスタ界のダークナイト。暗黒の騎士。
- イカ墨パスタの歴史・文化
- イカ墨パスタ(スメラルダ)
- 最強ミョウガのイカ墨パスタ
- イカスミパスタ(カルディ)
- 最初からイカ墨が入ったスパゲッティ
- 枝豆とミョウガのイカ墨パスタ
- レトルトのイカ墨パスタソースの実力
イカ墨パスタの歴史・文化
イカ墨パスタの発祥は水の都ヴェネツィア。現地では「ネーロ・スパゲッティ」と呼ばれる。ネーロ(nero)とは「黒」という意味のイタリア語。黄金のパスタが漆黒に飲み込まれ、悪魔に魂を売り渡す。
日本ではイカ墨ペーストだけで作る店が多いが、イタリアではトマトソースにイカ墨を加えるのが伝統レシピ。漆黒のダークナイトや、セピア色のイカ墨パスタも提供される。サイゼリアのイカ墨パスタはこんな感じ。
イカ墨パスタは「スパゲットーニ」
パスタは2.4mm一択。みんな好みはあるが、イカ墨パスタは2.4mmでなければダークナイトになれない。ブルース・ウェインのまま。メーカーはマンチーニの2.4mmを使ってほしい。この太さは「スパゲットーニ」と呼ばれる。スパゲッティ(1.8mm〜2.2mm)より極太で、ROLANDの経営するイタリアン『BELLA NOTTE(ベラ ノッテ)』が珍しく2.5mmを使っている。
日本人は細麺好きだが、イカ墨の旨味を受け止めるには太さが必要。あらゆる麺を試して言うから間違いない。
イカ墨はペーストでOK(スメラルダ)
イカ墨はペーストでOK。わざわざイカを捌いて墨を取り出す必要はない。飲食店より美味しいイカ墨パスタを作れるんだから間違いない。ペーストはスメラルダ。南イタリア・サルデーニャ島で作られている。見た目のカッコ良さ、量、味、すべて完璧。小袋に入ったペーストも試したことがあるが少しイカ臭さが気になった。スメラルダを試してほしい。ダークナイトのバットモービル。マンチーニの2.4mm、スメラルダのイカ墨ペーストがないと、ジョーカーには勝てない。
カルディのイカ墨ペースト
カルディに行ったことのある人は「モンテベッロ・イカスミペースト」を見たことがあるかもしれない。2袋入りで333円。イタリア産ではなくスペイン産。
- 原材料名:イカスミ、食塩/増粘剤(CMC-Na)
- 内容量:8g(4g×2袋)
- 保存方法:直射日光・高温多湿を避け常温で保存
- 原産国名:スペイン
- 輸入者:モンテ物産株式会社
スメラルダに比べて少し塩味が強く、イカスミ感は弱い気がするが十分に美味しい。
イカ墨パスタ(スメラルダ)
イカ墨パスタは絶対に"ある食材"を入れたほうが良いが、まずはイカ墨パスタの底力を味わってほしい。イカ墨ペーストとトマトソースで食べる伝統的なイカ墨パスタ。
イカ墨パスタの材料・食材
伝統と言いながらカラブリア産の唐辛子を足す。邪道と呼ばれようが、絶対にあったほうがいい。魚介かぶりになるがアンチョビも必要。ルパンには次元大介が必要。それと同じ。イカ墨ペーストにはアンチョビと覚えておこう。
イカ墨パスタのレシピ・作り方
- ニンニクはみじん切り
- ニンニク、唐辛子、アンチョビをファイア
- ニンニクが色づいたらトマソーをダイブ
- 少し煮詰めてイカ墨ペースト投入
- パスタを混ぜて火を止める
- イタパセとオリーブオイルのシャワー
- 刻んだイタパセを乗せる
レシピは小倉シェフ。他の料理人のレシピも試したが、小倉シェフに勝るものなし。トマソーを入れない作り方も多いが、トマソーは絶対にあったほうがいい。イカ墨の旨さをライジングする。クリスチャン・ベイルやクリストファー・ノーランが食べても美味いと言わせる自信あり。ぜひ、お試しを。
みじん切りしたニンニク、唐辛子、アンチョビ、刻んだイタリアンパセリの茎を入れてオリーブオイルで大仁田厚のようにファイア。イタパセの茎は捨てる人がいるが、旨味と風味になるので絶対に入れるべし。沸騰するまでは強火で。沸騰したら弱火で。
ニンニクがボディビルダー色になってきたらトマトソースを入れる。アンチョビの水分で早く焦げやすいので、しっかり見ておく。
トマトソースを煮詰めたらイカ墨ペーストを入れる。量は写真くらいで一度試してみて、物足りなければ次回から量を増やす。
茹でたパスタをよ〜く混ぜたら火を止めてイタリアンパセリの葉、オリーブオイルを回しかける。必ず火を止めてから。香りものは熱を加えると長州力のように飛んでしまうので注意。
お皿盛ったら追いオリーブオイルとイタリアンパセリを乗せて完成🎶
↓↓イカ墨パスタの食材↓↓
最強ミョウガのイカ墨パスタ
イタリアンパセリや具なしでも最高に美味しいが、ぜひやってほしいのはミョウガ。
仕上げにミョウガを入れるだけ
仕上げに刻んだミョウガを混ぜるだけ。パスタ史上最高の相性。バットマン&ロビン。これぞダークナイト・ライジング。小倉シェフはイタパセとミョウガの合わせ技一本でいくが、ミョウガだけで十分。イタパセの分をミョウガにしたほうがおすすめ。
イカスミパスタ(カルディ)
続いてはカルディのイカスミペーストを使ったイカ墨パスタ。もちろんミョウガつき。
イカスミパスタ(カルディ)の材料
- イカ墨スパゲッティ:100g
- カルディのイカスミペースト:1袋
- コッポラ社のトマトソース:大さじ2
- アンチョビ:2フィレ
- 青森県産のニンニク:1片
- カラブリア産の唐辛子:1つ
- イタリアンパセリ:適量
- ミョウガ:1本
パスタはマンチーニの2.4mmのスパゲットーニがおすすめだが、今回はラモリサーナのイカ墨スパゲティを使った。あとで説明する。とにかく重要なのはミョウガ。イタリアンパセリはなくていいが、ミョウガは必須。
イカスミパスタ(カルディ)のレシピ
- ニンニクはみじん切り
- ミョウガは斜め切り
- ニンニク、唐辛子、アンチョビを炒める
- ニンニクが色づいたらトマソーを入れる
- 少し煮詰めてイカ墨ペースト投入
- パスタを混ぜて火を止める
- イタパセとオリーブオイルのシャワー
- 刻んだイタパセを乗せる
さっきと同じ。まったく同じ。
ニンニクはみじん切り、イタリアンパセリは細かく刻んで茎は捨てずに残しておく。ミョウガは大きめに斜め切り。食感を残しておく。
ニンニク、唐辛子、アンチョビ、イタリアンパセリの茎をオリーブオイルでサンダー・ファイア・ボム(大仁田厚の必殺技)
トマトソースを軽く煮詰めたらカルディのイカ墨ペーストを入れてグルグル混ぜる。ローリング・ストーンズも真っ青のPaint It, Black。
茹でたパスタを混ぜて、火を止めてからオリーブオイル、イタリアンパセリの葉を入れる。再びよくアルミパンを振って全体に馴染ませる。
お皿に盛ったらミョウガを乗せてオリーブオイルを回しかけて完成🎶
↓↓イカ墨パスタ(カルディ)の食材↓↓
最初からイカ墨が入ったスパゲッティ
なかなかどうして画期的なパスタがある。ラ・モリサーナから出ている、イカ墨を練り込んだパスタ。マジで黒い。麺 in BLACK。イカ墨ペーストを買うのが面倒な人向けだと思われる。
物は試しで、塩で茹でて食べてみた。一応イタリアンパセリだけ乗せる。見た目はイカ墨パスタそのものだが、味は弱い。というか、普通に美味しい1.7mmのパスタ。目隠ししたら分からないレベル。まあ、見た目を楽しむパスタという印象。それじゃあ話が終わってしまうので、おすすめの食べ方を紹介する。
ミニトマトのイカ墨パスタの食材
ミニトマトの量はお好みで。リコピン大魔王はもっと多くてもいい。こんなんナンボでも食べられますからね。今回はトマトペーストにしたが、トマト缶やソースでもOK。
ミニトマトのイカ墨パスタの作り方
- パスタを茹でる
- ミニトマトを半分に切る
- アンチョビを炒める
- トマトペーストを入れる
- 茹で汁50ccを加える
- 茹でたパスタを混ぜる
- 皿に盛ってトマトを飾りつけ
- オリーブオイルを回しかける
パスタを茹でている間にミニトマトを半分に切っておく
アルミパンにオリーブオイルを引いてアンチョビを入れる。熱が入ったらフォークやゴムヘラでアンチョビを潰す。
アンチョビの香りがフワッと立ち上がってきたらトマトペースト大さじ1を入れて軽く炒める。
パスタが茹で上がる前に茹で汁50ccくらいを入れてソースを作る。
茹でたパスタを入れて、火力を最強にして混ぜる。マンテカトゥーラ(鍋を振る)。
お皿に盛って、ミニトマトを飾り付け、美味しいオリーブオイルを回しかける。
枝豆とミョウガのイカ墨パスタ
ミョウガだけでも最高だが、もっと欲張って具沢山で攻めたい。夏は枝豆が美味しい。
枝豆とミョウガのイカ墨パスタの材料
- イカ墨スパゲッティ:100g
- カルディのイカスミペースト:1袋
- コッポラ社のトマトソース:大さじ2
- アンチョビ:2フィレ
- 青森県産のニンニク:1片
- カラブリア産の唐辛子:1つ
- イタリアンパセリ:適量
- ミョウガ:2本
- 枝豆:たっぷりプリプリ
パスタはどんなイケ麺でもOK。今回はカルディのイカ墨ペーストが余っていたけど、できればスメラルダのほうが美味しい。写真には忘れたがカラブリア産の唐辛子はあったほうが美味しい。界王拳10倍くらい違う。枝豆の量は多すぎるくらいで丁度いい。こんなんナンボあってもいいですからね。
枝豆とミョウガのイカ墨パスタのレシピ
- ニンニクはみじん切り
- ミョウガは斜めに薄切り
- ニンニク、唐辛子、アンチョビを炒める
- ニンニクが色づいたらトマソーを入れる
- 少し煮詰めてイカ墨ペースト投入
- 枝豆を半分入れてソースに絡ませる
- パスタを混ぜて火を止める
- イタパセとオリーブオイルのシャワー
- 刻んだイタパセを乗せる
ニンニクはみじん切り、ミョウガは気持ち薄めに。太いと枝豆の存在感を奪ってしまう。イタリアンパセリの茎は捨てない。食品ロス撲滅にご協力を。
イカ墨パスタでお馴染み。御多分に洩れず、ニンニク、唐辛子、アンチョビ、イタリアンパセリの茎をオリーブオイルで炒める。
ニンニクがボディビルダー色になったらトマトソースの出番。
トマトソースを軽く煮詰めたらイカ墨ペーストの登壇。水気が足りなければ茹で汁をちょっと足す。枝前も半分くらいブチ込んじゃえ。
パスタが茹で上がったら火力を最大にしてよく混ぜる。火を止めてからイタリアンパセリの葉、オリーブオイルを回しかける。
お皿に盛って、刻んだミョウガ、残りの枝豆を添える。美味しいオリーブオイルを一周したら完成🎶
レトルトのイカ墨パスタソースの実力
落合務シェフの「いかすみソース」
イカスミパスタを作るのは大変だから外食のときだけ食べる人も多い。そんな人には落合務シェフのイカ墨パスタソースを試して欲しい。たった258円で超美味しい。
原材料を見ると、トマトジュースやニンニク、アンチョビ、白ワインなど本格的。ちゃんとしたパスタを使えば、家族などに出せば感動されるレベル。
作り方も鬼のように簡単で、ソースを5分間、沸騰した温泉につけるだけ。
あとはパスタを茹でてソースとボウルで混ぜるだけ。
イカ墨の臭みがなく、とても上品。サイゼリアさんと遜色ないか、それより美味しいレベル。イタリアンパセリなんか乗せるとオシャレ。ミニトマトかミョウガでもいい。最強はミョウガ。美味しいオリーブオイルを回しかけてもいい。とにかくパスタだけはこだわろう。おすすめは2.4mmの太麺。
青の洞窟イカスミのソース
続いては1995年に誕生した「青の洞窟」シリーズ。青は地中海の深遠なブルーを、洞窟は奥深さを表現したオシャレなパスタソース。
落合シェフの鍋で温めるタイプではなく、電子レンジで20秒チンするだけの時短王。
材料はトマトペースト、アンチョビーソース、ニンニクの香りと落合シェフとほぼ同じ。温めてパスタと混ぜるだけの最強簡単レシピ。
イタリアンパセリではなく大葉を乗せてみたけど、スマッシュヒット。超うますぎ。味は落合シェフに比べると、イカ墨のパンチはなく、癖の強いパスタが苦手な人やお子様でも食べやすい万人受けの印象。ぜひ食べ比べてください。
↓↓イカ墨パスタの食材↓↓
パスタは道具にこだわるほど美味しくなる、楽しくなる、愛おしくなる
最後までご覧いただき、あリガトーニ。