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パスタの聖書

パスタのレシピ、文化を公開。家庭料理で唯一プロの味を超えられるのがパスタ。

アルデンテの正体〜パスタの美味しい茹で方

アルデンテの状態のパスタ

アルデンテの状態のパスタ

茹で加減は?アルデンテで!脊髄反射のように使っているアルデンテ。意味は分からないけどパブロフのイヌ的に使っておけば大丈夫と思っている人。これが落とし穴。パスタ=アルデンテが正解ではない。美味しいパスタを作るためにも、アルデンテの正体を丸裸にしよう。アルデンテを制するものはパスタを制する。

アルデンテとは

アルデンテの見極め方

麺同士がくっつくのがアルデンテ

麺同士がくっつくのがアルデンテ

アルデンテ(al dente)とは、「歯ごたえが残る程度に麺を茹でた状態」。細かく言うと、麺の中心が髪の毛の細さの芯を残して茹で上げた状態。簡単な日本語に訳すと「バリカタ」。奥田政行シェフの表現を借りれば「ツルっ、プリっ、ポンっ」。アルデンテかどうかの見極め方は食えば早い。が、それを言っちゃあおしめえよ。茹でた麺を箸ですくって、麺同士がくっついている状態。茹で時間が早すぎると、箸ですくっても麺同士が離れ離れ。この状態で食べると芯が硬くて美味しくない。生でかじっているようなもの。ちなみにローマにはアルデンテより硬い状態、すなわち「ハリガネ」で食べる店もあるらしい。「鉄のアルデンテ」と呼ばれているとか。一度、食べてみたい。

アルデンテが重要な理由

茹で時間が足りないと麺が離れる

茹で時間が足りないと麺が離れる

アルデンテが重要な理由は、パスタの主役は麺であり、コシとハリが美味しさに直結するから。ブヨブヨの肥満パスタより引き締まった筋肉質のパスタのほうが美味しい。コンビニなどで買う麺はフニャフニャで弾力がなく美味しくないことが多い。実は素麺ほど細い麺でもコシがあるほうが良い。悪い素麺はコシがない。理由は時間をかけずに大量生産で作っているから。その話をすると長くなるのでパスタに戻る。

アルデンテの反対は「ベンコッティ」

カルボアラビータ

バリカタのアルデンテに対し、柔らかいモチモチの状態をベンコッティ(ben cotti)という。意味は「よく火が通っている状態」。日本語に訳すと「バリやわ」。クリームパスタやトマトパスタなど、ソースが主役のパスタはアルデンテより「ベンコッティ」の状態が良い種類もある。カレーをパンで食べるとき、カッチカチのフランスパンよりモッチモチのナンのほうがルーに合うでしょ。硬すぎるとソースを弾いてしまい絡みにくい。アルデンテだけが若者のすべてではない。

【参考】マンテカトゥーラは本来NG

パスタ最大の愉しみマンテカトゥーラ。イタリア人シェフ・マルコさんの華麗なる神技に魅了された者は少なくない。パスタの聖書も沼に堕ちた被害者のひとり。マンテカトゥーラ(Mantecatura)とはイタリア語で「混ぜる」「こねる」の意味。中華鍋でチャーハンを作るときのように豪快に鍋を振ってパスタをサーカスさせる。なんならマンテカトゥーラをやるためにパスタを作っているといっても過言ではない。しかし、厳密に味に関して言えばマンテカトゥーラはNG行為。少しなら良いが、麺がフライパンに叩きつけられて麺肌がボロボロになってしまう。コシやハリが失われるスーサイド・スクワッド。小林幸司シェフがYouTubeをやっていたときは一度たりともマンテカトゥーラをしなかった。奥田政行シェフや小倉知巳シェフなどパスタの達人はマンテカトゥーラをあまりしない。ただし、マンテカトゥーラという愉しみを取ってしまったらパスタ作りの意味がない。ホームランも三振もない野球と同じである。だから今日も明日も味が落ちることを承知でマンテカトゥーラしまくる。レッツ・マンテカトゥーラ。

アルデンテが重要になるパスタ

カレーに例えたように、なんでもかんでもアルデンテが正義ではない。アルデンテが特に重要になるのは2つ。

オイル系やバター系パスタ・ビアンカ

ペペロンチーノのようなオイル系や和風のバター醤油などは、麺を油でコーティングするだけなので、麺自体の旨さが味に直結する。もっと言えば、きちんとアルデンテを作れたら塩茹でしたパスタにオリーブオイルをかけるだけで超美味しい。

具材が少ないパスタ

トマトクリームパスタ

トマトソースやクリームソースであっても具材を使わずに和えるなら、「バリやわ」より、アルデンテのほうが良い場合が多い。理由は、麺が柔らかいと最初は良いが、次第に麺が弱ってきて頼りなくなって飽きてくるから。最初はアルデンテでも食べているうちに丁度良いベンコッティになってくる。そこがパスタ道の深く面白いところ。

ナポリタンはベンコッティの代表格

ナポリタン

ナポリタンのような具材ゴロゴロは柔らかくベンコッティ(バリやわ)で茹でたほうが美味しいパスタの代表格。麺がアルデンテだと具材やケチャップソースと喧嘩してしまいセッションしない。だからアルデンテは飲食店では表示時間より1分か2分多めに茹で、こだわる店は1日冷蔵庫で寝かして麺を柔らかくする。実は奥が深いナポリタンである。

美味しいアルデンテの茹で方

可能ならニガリを使う

最後に美味しいアルデンテを作るコツを紹介する。前提として日本の水は軟水なので麺がフニャフニャになりやすい。ヨーロッパの水は硬水なので塩茹でしなくてもアルデンテになる。日本の水は軟水なので、超こだわるならニガリを使うのベスト。ニガリ

ガリを3〜5滴入れるだけで日本の軟水がヨーロッパの硬水に変わる。ただし、毎回そんな裏技つかってられないので、他の方法を紹介する。

塩マシマシにする

モティアの海塩(粗塩)

美味しいアルデンテにするコツは「塩マシマシで茹でる」。誤解している人が多いが、麺を塩で茹でるのは、塩の味を足すためではなく、パスタの中に塩を入れてコシとハリを生むため。塩なしの湯で茹でるとパスタの体内が水分だけになってブヨブヨの肥満パスタになる。塩を多めすることで麺が筋肉質になる。塩分濃度は1%前後では意味がない。できるだけ1.5%以上。ショッパイやんと思うくらいがジャストミート。アルデンテは塩ラーメンと心得よ。

温泉くらいの適温で茹でる茹で論アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ

アルデンテのコツが茹でる湯の温度。たまにグツグツ煮えたぎった地獄のような湯で茹でている動画を見るが、これはNG。パスタは90℃以上に熱されると麺肌がボロボロになってデンプン質が外に出る。麺にハリやコシが無くなり、ツルツルの喉ごしも失われる。ジャストミートはポコポコ気泡が出るくらい。火力は中火から強火の間。五右衛門風呂ではなく温泉を意識。それさえ意識すれば、美味しいアルデンテができる。元気があればなんでもできる。

お湯の量は2リットル以上

ジオ・プロダクト、パスタ鍋

パスタの袋の裏に「1リットルのお湯に対して10gの塩で茹でる」とあるが、これでは美味しいアルデンテは難しい。塩の量が1.5%欲しいと説明したが、もうひとつが量。麺は生きもの。人間と同じで、たっぷりのお湯で心地よく泳がせることが重要。めちゃくちゃ狭い浴槽にぎゅうぎゅう詰めで浸かっても気持ちよくないだろう。大きい浴槽に浸かるからこそ気持ちいい。ジオ・プロダクト、パスタ鍋

パスタは茹でると2.3倍から2.5倍に膨らむ。100gのパスタを茹でたら250gくらいになる。1リットルしか水がないと麺密度が多すぎてパスタが擦れ息苦しい。1人前だけ作るときもジオ・プロダクトの6.8リットルのパスタ鍋のように、余裕のあるパスタ鍋を使おう。アルデンテを極めて美しいパスタライフを送ってください。

究極のアルデンテは奥田シェフ「ゆで論」

アルデンテを極めたい人は奥田政行シェフの「ゆで論」を実践しよう。方法は簡単。

  1. 2.7%の超しょっぱい塩で茹でる
  2. パスタを茹でたら真湯ですすぐ

最初に2.7%という海水なみにしょっぱい塩(1リットルのお湯に27gの塩)で茹でて、もうひとつ塩なしの湯を用意して1秒くらいすすぐ。パスタの中には十分に塩が入って表面の塩が取れるので丁度いい塩梅になる。塩の種類はなんでもいい。奥田シェフ曰く、ツルっ、プリっ、ポンっの麺になる。

ゆで論の塩

2リットルの水に対して54gの塩

2リットルの水に対して54gの塩を用意する。3リットルの水であれば81gの塩。海水なみにしょっぱくする。

塩を入れない真湯

塩を入れない真湯

塩が入っていない、ただのお湯を用意する。

パスタを茹でたら1秒間だけ浸けてすすぐ。麺の中には塩がきっちり入り、表面の塩が取れて、ちょうどいい塩の量になる。

茹で論アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ

ゆで論で作ったペペロンチーノは異常に美味しいので試してみてほしい。

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