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パスタの聖書

パスタのレシピ、文化を公開。家庭料理で唯一プロの味を超えられるのがパスタ。

【パスタ名店】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

念願だったイタリアンを食べることができた。料理人・小林幸司さんのYouTubeチャンネルが無くなり、唯一の心の拠り所となった「小倉知巳のイタリアンプロ養成講座」。その小倉シェフが参宮橋に構える『REGALO(レガーロ)』を訪れることができた。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

コロナ禍の2022年、桜の見頃を迎えた3月27日、『秒速5センチメートル』の舞台近くの商店街の中に『REGALO』はあった。甲子園球場の蔦のようにお店は覆われ、最初は気付かず通り過ぎてしまった。予約の11時半の5分前に行くと一番乗り。スタッフの方が外に上がってきてカウンター席に案内。入店するとたくさんの元気な声が出迎えてくれる中、毎週見ている小倉シェフが真ん中に。何度もフライパンを振り食材を刻んできた逞しい腕。YouTubeで見るよりオーラがある。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

メニュー表には「Mitsumasa Matsuda」の手書きに「イタリア料理の王道」の刻字。歓迎のうれしさと、果たし状を渡されたような緊張感が同時に襲う。望むところだ。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

イタリアン旅行のお供に白ワインをお願いする。数種類の中から選んだのがコフェレルホーフ。イタリア最北・標高1,000m級で造られているそうだ。ワインに造詣はないが、フレンチには赤ワイン、イタリアンには白が似合う気がする。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

富山県ホタルイカのインパデッラ トマトとブッラータ。トップバッター。お店の顔であり印象が決まる。インパデッラは「フライパン焼き」。小倉シェフは一皿に海の旨味を閉じ込めた。主張しない静かな雷鳴。たとえレシピを公開しても、再現不可能だとわかる。これがレガーロだと見せつけてくれる。一口で非日常を届けてくれる。イチローが先頭打者ホームランを打った衝撃。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

メジマグロのカルパッチョ 紅八朔と菜の花のペスト。2番バッターは大好きなカルパッチョ。一瞬、薄味に思えて、滋味が溢れてくる。ここでガツンと大味を出してはいけない。ただ純粋にマグロという食材の魅力を紹介。このあとの旅の工程も考えてくれた味。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

赤座さんの有機卵とフォアグラのグラティナート  白トリュフの香り。レガーロのスペシャリテ(看板商品)。フォアグラも白トリュフもよくわからない。でも美味い。もう料理なんて、それでいいんじゃないか。皿まで料理の一部に感じてしまう一体感。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

茨城県産 つくば美豚の炭火焼き。4番打者。旨味のナンバーワン。肉の存在感を見せつけられた。やはり肉はすべての食材を蹂躙するのか。牛ではなく豚であるところに哲学が溢れる。小倉シェフの意志が感じられる。味の7割は食材で決まるというが、そんな次元ではない。身は小さく、大部分はお皿なのに、余白を余白にしない。これこそが本当のワイルド。

【パスタ名店訪問】REGALO(レガーロ)〜アラビアータの美学

今日の主役。メインイベンター。メニューにはない。背番号のないエース。YouTubeで何度も見た。追加注文。場外乱闘。ガロファロの1.5mm。ペンネは使わない。常識を一本背負いする。クルクル回りながらフライパンを振り、オリーブオイルをぶっかける。小倉シェフ主演・演出の舞台劇。ワン・フロム・ザ・ハート。これまでのように料理の詳しい説明はしない。テーブルに皿を置き、ニッコリとうなずくだけ。笑顔のキャッチボール。熱々のパスタをフーフーしながらすぐに口へ。YouTubeを見て腹をくくってなければ吐き出すほどの熱さ、鮮烈。あとから旨味が追いかけてくる。逃れられない追撃者。最初の一口より二口、三口と旅をするほど沼にハマる。フォークが止まらない。汗が止まらない。興奮が止まらない。前菜にもメインディッシュにも、デザートにもなる。小倉シェフのムラの美学ここに極まれり。

パスタの名店シリーズ