大葉は素晴らしい。清涼感があり、料理の最後にちょこんと乗せるとめっちゃ映える。しかも安い。98円の税抜きで買える。身体にも財布にもやさしい。ありがたいことに量が多いからこそ冷蔵庫に余ってしまっている人も少なくない。そんな余り物の大葉を一掃し、美味しいパスタにメタモルフォーゼするレシピを紹介する。
- 伝説のスパゲティ・バジリコ
- スパゲティ・バジリコ(本家)
- スパゲティ・バジリコ(大葉のみ)
- バジル尽くしスパゲティ・バジリコ
- スパゲティ・バジリコ(柚子胡椒)
- 本物のスパゲティ・バジリコ(キャンティ)
伝説のスパゲティ・バジリコ
スパゲティ・バジリコの発祥
大葉とバジルのパスタの元ネタは、スパゲティ・バジリコ。1960年代、六本木にある「レストラン キャンティ」が考案した。当時、新鮮なバジルがなかった時代に大葉とパセリで再現したパスタ(ただし、少量の乾燥バジルを使っている)
麻布台のキャンティは尾崎豊がよく通っていた店。レシピのあと紹介する。お楽しみに。
バジルとバジリコ
日本でお馴染みの「ハーブの王様」バジルとバジリコは呼び方が違う。中身は同じで、バジリコ(Basilico)はイタリア語、バジル(Basil)は英語。日本語では「バジル」が一般的。ただしバジルの原産はインド。ジェノベーゼにしたり、トマトとの相性が良かったりするので色々と楽しんでほしい。
バジルは大葉で代用可能
スーパーで買うと大葉の倍以上の値段のバジル。六本木のキャンティがバジリコ・スパゲティを作ったように、大葉でバジルの代用ができる。それもそのはず。大葉もバジルも同じ「シソ科」の植物。味が似ていても不思議ではない。ちなみに「ジェノベーゼ」も作るのが面倒くさかったり、食材を揃えるのが大変なので外食する人が多い。けど、ジェノベーゼも春菊で代用できる。言わずに黙って出したら、絶対にバジルを使ったジェノベーゼと勘違いするほど味が同じ。ぜひ作ってみてください。
スパゲティ・バジリコ(本家)
キャンティのスパゲティ・バジリコはレシピが公開されているので家庭で再現できる。すごい時代になった。門外不出、北斗神拳のような一子相伝は平成に異物なのかもしれない。せっかくレシピを公開してくれているなら作らない手はない。
スパゲティ・バジリコ(本家)の材料
- バリラ1.6mm:100g
- 和パセリ:2〜3束
- 大葉:10枚
- 乾燥バジル:ひとつまみ
- 青森県産のニンニク:1/2片
- カルピス社のバター(有塩):10g
- サラダ油:30ml
本家キャンティのスパゲティ・バジリコはおそらく1.4mmのフェデリーニを使っている。そのほうがパセリの存在感は際立つ。大葉の枚数はお好みで。「乾燥バジルなんか持ってねーよ」という人が多いと思うが、買おう。スーパーに売ってる。200円以下で1年以上もつので何回でも作れる。今回はキャンティのスパゲティ・バジリコの食材を紹介したが、個人的にはバターとニンニクをもっと多めにしたいところ。大好きなので。
スパゲティ・バジリコ(本家)のレシピ
本家キャンティのスパゲティ・バジリコはYouTubeでレシピが公開されている。キャンティで働いていた永島義国シェフの動画なので本物。
- ニンニクをみじん切り
- 和パセリ、大葉を細く刻む
- 乾燥バジルとバター油をブレンド
- ニンニクを炒める
- 茹でたパスタを投入
- 大葉、和パセリを乗せて混ぜる
- 火を強めてパセリと大葉を炒める
- 皿に盛って完成
ポイントは、とにかく細かく刻むこと。誰がみても親の仇とわかるくらい細かく刻む。面倒くさいけど、ここで横着すると味が落ちる。最初だけ我慢して切り刻もう。そしてパスタも茹ではじめる。
フライパンにサラダ油30ml(無かったのでオリーブオイルで代用)、バター10g、乾燥バジルひとつまみを入れてニンニクを炒める。
ニンニクが焦げすぎないように火加減は弱火でじっくり。香りを引き出そう。
パスタが茹で上がったらダイブto ブルー(L'Arc〜en〜Cielの歌)
その上にすかさず、刻みまくった和パセリと大葉を乗せる。
火を強くしてフライパンを振って和パセリと大葉をしっかり炒める。これもポイント。
皿に盛って完成。香ばしいニンニクとバジリコ・スパゲティが降臨する。尾崎豊に食べてもらいたかった。
味変ドリクスはチーズ削りまくる
実際にキャンティでやってる味変ドリクス。スパゲティ・バジリコに大量のチーズを削る(お店は粉チーズ)。もはやチーズパスタやん!というくらいに削る。それが正解。チーズのかまくらを作る。信じられないうまさ。尾崎豊『OH MY LITTLE GIRL』
↓↓スパゲティ・バジリコの食材↓↓
スパゲティ・バジリコ(大葉のみ)
好みに分かれるが、実は六本木のキャンティのスパゲティ・バジリコより簡単に、それでもかなり美味しく大葉とバジルのパスタが作れる。やることは超シンプル。和パセリを使わない。和パセリも美味しいが、大葉だけのほうがシンプルにバジルもどきのパスタが味わえて、こっちのほうが好きな人もいる。
スパゲティ・バジリコ(大葉)の材料
- ガロファロ1.7mm:100g
- 大葉:10〜20枚(お好みで)
- 乾燥バジル:大さじ2
- 青森県産のニンニク:1片
- カルピス社のバター(有塩):20g
パスタは細麺でもいいけど、1.6〜1.8mmくらいがベストと心得る。好みなので何でもOKっす。
スパゲティ・バジリコ(大葉)のレシピ
- ニンニクをみじん切り
- 大葉を細すぎるくらい刻む
- ニンニクをフライパンで炒める
- 乾燥バジルとバターを炒める
- 茹でたパスタを投入
- 刻んだ大葉を乗せて混ぜる
- 皿に盛ってお好みでオリーブオイル
ニンニクはみじん切りにして大葉を超細かく刻む。写真は途中で断念したけど、もっと細かく刻めるとベスト。面倒くさいけど「美味しくな〜れ」と願いながら切る。
まずはニンニクをオリーブオイルで炒める。沸騰するまで強火、フツフツいってきたら弱火。焦げちゃうので注意。
ニンニクがボディビルダー色になってきたらバターと乾燥バジルを投入。
パスタが茹で上がるまで待つ。
茹でたパスタを投入したら、上から大葉を乗せる。しっかりマンテカトゥーラ(鍋ふり)する。
皿に盛って完成。オリーブオイルを回しかけても美味しい。
味のパンチが弱かったらニンニクスパイス「ほりにし」を味変ドリクスに。
スパゲティ・バジリコ(大葉)の食材
バジル尽くしスパゲティ・バジリコ
乾燥バジルが余り、どうしようか考えた。バジルだけのスパゲティ・バジリコはどんな味がするのだろう。だから作ってみた。どうせならワンパンで。
バジルのスパゲティ・バジリコの材料
- バリラ1.6mm:100g
- 乾燥バジル:残っているもの全部
- バジル:残っているもの全部
- 青森県産のニンニク:1片
- カラブリア唐辛子:1本
- 水:300cc
- 塩:小さじ2
ワンパンで作るのでパスタは表面がツルツルしたバリラ。細麺なので麺はこだわらなくてOK。乾燥バジルとバジルは残っているもの全部ぶち込む。多すぎっしょ、というくらいでちょうどいい。
バジルのスパゲティ・バジリコのレシピ
- バジル、ニンニクを微塵切り
- ニンニク、唐辛子、バジルの茎を炒める
- 乾燥バジルを全部入れる
- 水と塩を加えて沸騰させる
- パスタを茹でる
- バジルの葉を混ぜる
- 皿に盛ってバジルの葉を添える
ニンニクとバジルを微塵切りにする。バジルの茎は捨てない。香り付けになるので。バジルの葉1枚だけ最後の飾りに残しておく。好みなんでどっちでもええ。
ニンニク、唐辛子、バジルの茎をオリーブオイルで炒める。
ニンニクがボディビルダー色になってきたらバジルの茎を捨て、乾燥バジルを全部入れる。いや多すぎっしょ、というくらいで丁度いい。ワンパンなのでバジルが薄まってしまうので多くても心配無用。信じるものは救われる。バジル教の経典に書いてある。
水300ccと塩を小さじ2くらい入れる。塩はあとで加えるので味見不要。
お湯が沸いたらパスタ投入。水が足りなくなったら足す。最初から水を多くしすぎるとシャバシャバのシャバダーのネスカフェ・ゴールドブレンドのCMソングみたいになってしまうので注意。水は少なめにして後から足すのがリゾッタータの掟。
パスタが茹で上がったら火を止めてバジルの葉を加えて混ぜる。皿に盛る前に味見。薄かったら塩を加える。おすすめはヒマラヤの岩塩。海塩に比べてしっかりパスタに絡むので仕上げの塩は岩塩がおすすめ。
お皿に盛って飾りのバジルを添える。飾りじゃないのよ涙は。
スパゲティ・バジリコの食材
スパゲティ・バジリコ(柚子胡椒)
柚子胡椒を使ったスパゲティ・バジリコ。これも簡単。
スパゲティ・バジリコの材料
- バリラ1.4mm:100g
- 大葉:10枚
- ニンニク:1片
- 柚子胡椒:小さじ1/2
- カルピス社のバター:15g
- 青唐辛子:1本(なくてOK)
青唐辛子は余っていたものを使っただけなので、なくてもOK。ちなみに柚子胡椒の「胡椒」は青唐辛子のことである。
スパゲティ・バジリコのレシピ
- ニンニク、大葉をみじん切り
- パスタを茹ではじめる
- ニンニクをオリーブオイルで炒める
- 色づいたらバター、唐辛子、柚子胡椒
- 茹でたパスタを入れて混ぜる
- 大葉を全部入れて混ぜる
- 皿に盛って完成
ニンニク、大葉、青唐辛子をみじん切りにする。パスタも茹ではじめる。
ニンニクをオリーブオイルで炒める。最初は強火で、沸騰したら弱火で。
ニンニクが色づいたらバター15g、青唐辛子、柚子胡椒を小さじ1/2くらい入れる。
茹でたパスタ、大葉を入れて混ぜる。
皿に持ってスパゲティ・バジリコ(柚子胡椒)の完成。
本物のスパゲティ・バジリコ(キャンティ)
令和6年6月19日。本物のスパゲティ・バジリコを堪能。キャンティ飯倉片町本店で。ランチの場合はミラノ風カツレツとのハーフになっていた。アクが強くなく、思った以上に素朴。そこがいい。パセリのシャクシャクが心地よく、重力のないパスタ。だが、一歩一歩の足跡と足音が確実に聴こえてくる。
驚いたのが味変ドリクスのチーズ。変身でも変化でも豹変でもない。まったく別のパスタに生まれ変わる。輪廻転生。主役であるバジリコが完全に消える。なのに旨い、とにかく美味しい。ひたすら優しい。そこに理屈はいらない。ぜひキャンティでも本物を堪能ください。
東京都港区麻布台3-1-7
11:30 ~ 15:00(Last Order 14:00)
17:00 ~ 23:00(Last Order food 21:30)
TEL:03-3583-7546
最後までご覧いただき、あリガトーニ。