パスタへの憧れの門を叩いたのは幼少に観た『ルパン三世 カリオストロの城』。今でも世界アニメ3本の指に入る。モデルとなった場所は北イタリアにあるサン・レーオ城やドイツのプファルツ城と言われる。語り出すと止まらないのでパスタの話をしよう。
- 映画史に輝くパスタ戦争
- イタリアのミートボール「ポルペッテ」
- カリオストロの城のミートボールパスタ
- カリオストロの城のミートボールパスタ(魚醤)
- カリオストロの城ミートボールパスタ(ショートパスタ)
- カリオストロの城のミートボールパスタ(ワンパン)
- ゴッドファーザーのミートボールパスタも作ろう
映画史に輝くパスタ戦争
カリオストロの城には食事シーンが何度か登場する。最も有名なのがカリオストロ公国のトラットリア(大衆食堂)で食べるミートボールパスタ。純白の大皿に城のように山盛りに積まれたパスタ。そこにデッカいミートボールが星のように散りばめられている。このシーンに食欲を奪われた人は多い。
ルパンと次元のパスタ戦争は映画史に輝くデュエル(決闘)。『パスタの聖書』の読者の方は気づいているだろうが、これまで紹介したパスタの背後には必ずルパンと次元のパスタ戦争のタペストリーがある。
パスタ戦争に勝利した次元の表情たるや。このカリオストロの城のミートボールパスタを再現したい。ミートボールから作るガチなレシピ、チャチャっと作れるワンパンのパターンを紹介するので、一度カリオストロの城パスタを作って欲しい。ルパンとカリオストロの城が、あなたの食欲を盗みます。
イタリアのミートボール「ポルペッテ」
イタリアでミートボールパスタが広まったのは近代。アメリカに渡ったイタリア移民の間で流行し、そのあと本国に伝えられた。イタリアでミートボールはポルペッタ(Polpetta)、複数形でポルペッテ(Porpette)と呼ばれる。ポルペッテは「肉団子」のこと。牛ひき肉を使うのがセオリーで、地方によってパン粉を入れたりチーズを入れたり、ハーブを入れたりと作り方がちがう。
カリオストロの城のミートボールパスタ
まずはポルペッタから自分で作るカリオストロの城のミートボールパスタ。全部で3時間くらいかかった。その先にゴート札のような偽物ではなく本物のミートボールパスタが待っている。
ミートボールから作るパスタの材料
- ブカティーニ:150g
- 合い挽き肉:250g
- ソーセージ:5本
- 玉ねぎ:1個
- コッポラ社のトマトソース:150cc
- 赤ワイン:30cc
- ナツメグ:3振りくらい
- ニンニク:1片
- 生卵:1個
- 黒胡椒:たっぷり
- チーズ:たっぷり
- バジル:1束
- 小麦粉:適量
まずはパスタ。カリオストロの城でルパンと次元は極太のスパゲティを争った。最低でもスパゲットーニ、それより太くする意味でブカティーニを使いたい。カリオストロの城を再現するには極太パスタが必須。次にミートボール。合挽肉だけもいいがソーセージを加えることで野生味が増す。パスタ戦争のトリガーになる。チーズはなんでもいいが、ルパンがフランス人なのでコンテチーズを使った。パルミジャーノ・レッジャーノでOK。
ミートボールから作るパスタのレシピ
材料や作り方は異なるが、レシピの参考にしたのはパスタ馬鹿さんのYouTube。カリオストロの城のミートボールパスタは数多くの料理人、料理ユーチューバーが作っているが、最もルパンの世界観を捉えているのがコレ。ブカティーニを使っているし、ミートボールもデカい。ただし今回紹介するのは、もっと特大にしている。完コピしたい方は動画をご覧あれ。
- 玉ねぎをみじん切りにする
- ソーセージもみじん切りにする
- 玉ねぎをオリーブオイルで炒める
- 色づいたら半分を取り出し冷ます
- 残りの玉ねぎは完全に焼き切る
- バジルをちぎってチーズを削っておく
- 合挽肉とソーセージを塩でこねる
- 卵、胡椒、チーズ、ナツメグ、玉ねぎを混ぜる
- ミートボールを作って1時間冷ます
- 小麦粉をつけてミートボールを焼く
- ミートボールを取り出し赤ワインを煮る
- トマソー、玉ねぎ、胡椒、ニンニクすりおろし
- ミートボールを10分間煮る
- パスタを茹ではじめる
- ミートボールをよけパスタを混ぜる
- 皿に盛ってバジルを散らしチーズを削る
玉ねぎを1個丸ごとみじん切り。パスタで面倒くさい作業だが精神が落ち着く。茶をたてるようなもの。無理な人はフードプロセッサーを使おう。
続けてソーセージをみじん切りにする。これも骨の折れる作業。フィアット500でカリオストロ公国を目指すように楽しみながら行こう。先は長い。
刻んだ玉ねぎをオリーブオイルで炒める。火力は中火。めっちゃ時間かかる。家に電子レンジがあれば刻んだ玉ねぎを先にレンジで3分チンすると良い。水分が飛ぶので炒める時間が短縮できる。ソーセージを刻む間にやってしまおう。
玉ねぎに色がついてきたら半分取り出して冷ましておく。冷まさないとミートボールが固まらないので注意。
残りの玉ねぎは完全に焼き切る。どう見ても失敗やん。クッソ焦げてるやんけ!という早とちりはシャラップ!玉ねぎの焦げは甘味。実際、味見すればわかる。めっちゃ甘い、天海祐希。
玉ねぎを焼くのに時間がかかるので、バジルをちぎってチーズを削ってニンニクをすりおろしておくと良い。
合挽肉、刻んだソーセージ、塩ひとつまみを混ぜてコネコネする。
この時点では固まらなくてOK。肉の脂が出て白くなったらOK。
冷ました玉ねぎ、卵1個、ナツメグ3振りくらい、削ったチーズ10gくらい、黒胡椒これでもかを混ぜて揉み込む。
パン粉を使ってないので緩いがOK。
ミートボールの形にする。超特大にしたが、小ぶりにして数を多くしてもOK。小ぶりのほうが形は崩れにくい。この状態で1時間、冷蔵庫か極寒の冬空で冷ます。1時間たっぷり冷やす。
1時間も冷やしたら固まってくる。グーパンチで押しても崩れなければOK。
小麦粉をたっぷりかける。
オリーブオイルを引いてミートボールを焼いていく。火が強すぎると中まで火が通らずに焦げるので弱火でじっくりと。
ちょっと崩れたけど 、こんなん気にしてたらパスタなんか作れない。しっかり焼き目がつくように焼いていく。ミートボールがしっかり焼けたら取り出す。
ミートボールを取り出したあと、赤ワイン30ccを入れて鍋底についた肉の旨みを綺麗にこそぎ出す。
トマトソース150cc、焼いた玉ねぎ、胡椒、すりおろしニンニクを加えて煮る。
トマトソースの中でミートボールを10分間煮る。このタイミングでブカティーニを茹ではじめる。ミートボールを10分間煮たら脱獄する。
茹でたブカティーニをトマトソースによく混ぜる。
味見をして、薄ければ砂糖を入れたり塩を入れたりチーズを加えたり調整。
お皿に盛ってバジルを振りかけ、チーズを削る。お好みでオリーブオイル。お疲れ様でした。これぞ炎のたからもの。クラリスの心も盗めます。
カリオストロの城のミートボールパスタの食材
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カリオストロの城のミートボールパスタ(魚醤)
続いても北イタリアに近いカリオストロの城のミートボールパスタ。トマトピューレ、イタリアの魚醤コラトゥーラのパンチをガツンと効かせる。
カリオストロの城のミートボールパスタ(魚醤)の材料
- マンチーニ2.2mm:100g
- トマトピューレ:120cc
- 鶏肉のミートボール:大量
- 青森県産のニンニク:1片
- 赤ワイン:30cc
- コラトゥーラ:小さじ1
- イタリアンパセリ:少量
- バジル:たっぷり(お気に召すまま)
- グラナ・パダーノ:仕上げ
ミートボールは新宿のマルエツ(スーパー)で買ってきた鶏肉のつくね。もちろん自分で作れたらパーフェクトだが、税金との闘いに追われる日々。仕事の合間に、パスタの聖書を書いている。楽させてほしい。今回のポイントはイタリアの魚醤コラトゥーラを使うこと。そして、トマトピューレを使う。トマト缶より酸味が少なく思い切り甘くなる。コッポラ社のトマトソースでもいい。
カリオストロの城のミートボールパスタ(魚醤)のレシピ
レシピの参考はファビオさん。ただし、ファビオさんはミートボールから作り、材料も作り方も違う。あくまでインスパイア。ファビオさんのレシピを再現したい方は動画を見てください。
- イタパセ、ニンニクをテキトーに切る
- ニンニクをオリーブオイルで炒める
- ミートボールを焼く
- 赤ワインを30ccを入れる
- パスタを茹ではじめる
- トマトピューレを入れる
- コラトゥーラ、塩を入れる
- 茹でたパスタを入れる
- 刻んだイタパセを入れる
- 皿に盛ってチーズを削る
ニンニクはスライス(なんでもよし)、イタリアンパセリを茎ごと細かく刻む。茎は柔らかくて旨味なので捨てない。バジルの葉はテキトーに切る。
意味なく中華鍋を使った。なんでもいい。気分。ニンニクをオリーブオイルで炒める。最初は強火で、沸騰したら弱火に。
すかさずミートボールも投入。自分からミートボールを作る場合はニンニクの前に炒める。
ミートボールに焼き目がついてニンニクがボディビルダー色に変色したら赤ワイン30ccを入れる。アルコールが飛ぶまで中火で熱する。
パスタを茹ではじめてトマトピューレを入れて水分を飛ばして旨みを引き出す。火は中火のまま。
塩2つまみ、コラトゥーラ小さじ1を入れる。
茹でたパスタを入れて火力最大で熱する。これぞ中華鍋の本領発揮。汁気が足りなけりゃ茹で汁を入れる。水分飛ばした意味ないやんと思う鴨。しかし、茹で汁はパスタの旨味と塩が入っているので美味しい出汁。トマトソースとも相性がいい。
いい感じにパスタにトマトソースが絡まったら火を止めてイタリアンパセリを入れて混ぜる。
皿に盛ってグラナパダーノを削り、オリーブオイルを回しかけてバジルを散らす。
カリオストロの城のミートボールパスタの食材
カリオストロの城ミートボールパスタ(ショートパスタ)
イタリアといえばショートパスタ。ショートパスタを制する者はパスタを制する。クラリスに捧げるカリオストロの城ミートボールパスタ。
カリオストロの城ミートボールパスタ(ショートパスタ)の材料
- ファルファッレ:100g
- トマトカット缶:200g(半分)
- 鶏肉のミートボール:大量
- カラブリア唐辛子:2本
- 乾燥オレガノ:小さじ1(無くてもOK)
- 乾燥タイム:小さじ1(無くてもOK)
- バジル:たっぷり(お気に召すまま)
- グラナ・パダーノ:15gほど(テキトーでOK)
今回はハーブ類を使ったが、無くてもOK。トマトだけで勝負できる。ショートパスタは北イタリア生まれのファルファッレ。Farfalleは「蝶々たち」と言う意味で、パスタも蝶ネクタイの形をしている。
北イタリアのロンバルディア州かエミリア=ロマーニャ州が発祥地。今回はファルファッレが50gくらいしか残っていなかったので、別のショートパスタも混ぜた。ロングパスタと違って色んな種類をブレンドできるところがショートパスタの凄さ。アクセントとしてカラブリア唐辛子を使うのがポイント。チーズの甘み、トマトの酸味、ハーブの高貴、そしてカラブリア唐辛子の辛味のカルテット。
カリオストロの城ミートボールパスタ(ショートパスタ)のレシピ
- バジルの茎をオリーブオイルで炒める
- ミートボール、唐辛子を炒める
- パスタを茹ではじめる
- 焼き色がついたらトマト缶を入れる
- 塩、オレガノ、タイムを入れる
- 茹で汁を50cc加える
- 茹でたパスタを混ぜる
- チーズを削ってまぶす
- 皿に盛ってバジルを散らす
- オリーブオイルを回しかける
バジルの茎は捨てずオリーブオイルで熱する。香りづけになる。
茎がこんがりしたら役割を終えて、ミートボールとカラブリア唐辛子を入れる。弱火でじっくり焼く。
ミートボールに焼き色がついたらパスタを茹ではじめトマト缶をぶちまける。
塩ひとつまみ、タイム小さじ1、オレガノ小さじ1を入れて中火で煮詰める。水分をぶっ飛ばす。水分と一緒に酸味を飛ばして甘みと旨みを引き出す。
水分が飛び切ったら茹で汁を50cc加える。なんのために水分飛ばしてん!と早とちりせぬよう。茹で汁にはパスタのデンプンと塩の旨みがあるので出汁。トマトの旨みを倍増させる界王拳である。
茹でたパスタを混ぜる。煮詰まってたら再び茹で汁を加える。
パスタにトマトソースが絡まったらチーズを加えて混ぜる。
お皿に盛ったらバジルを散らしてオリーブオイルを回しかける。
カリオストロの城ミートボールパスタ(ショートパスタ)の食材
カリオストロの城のミートボールパスタ(ワンパン)
クソ忙しいのにミートボールから作ってらんねーよという心の絶叫に応えて、超時短なワンパンのカリオストロの城のミートボールパスタを紹介する。時短なので味はイマイチかと思いきや、自分でミートボールを作るより美味かったりする。
カリオストロの城のミートボールパスタ(ワンパン)の材料
用意できるなら旨味の援護射撃で削ったチーズを使いたい。無くても作れるが圧倒的に美味しくなる。パスタは太麺を使ったがワンパンなので細麺でも大丈夫。太麺は長時間煮込むとボソボソになるので細麺も向いている。ポイントは鶏肉のつくね。これがウルトラC、プリンセス天功も真っ青のイリュージョン。市販のミートボールでもいいがソースがついているので味がボヤける。鶏肉のつくねは食感もよくミートボールパスタとして最強の相性。五右衛門の斬鉄剣のようなキレがある。ぜひ試してほしい。
カリオストロの城のミートボールパスタ(ワンパン)のレシピ
- イタリアンパセリをみじん切り
- 鶏のつくねをオリーブオイルで炒める
- 水やトマソーなどの調味料を全部入れる
- パスタを入れて塩を加える
- 火を止めてチーズを削る
- 皿に盛ってイタパセを振りかける
イタリアンパセリは細かくみじん切り。いつもは茎も使うが今回は避けた。使ってもOK。
フライパンでミートボール(鶏のつくね)をオリーブオイルで炒める。
両面こんがりするまで焦がす。しっかり焼いたほうがカリカリで美味しい。焦げを恐れない。フライパンについた焦げは旨味であり、あとで取れる。
ミートボール(鶏のつくね)がしっかり焼けたら、水350cc、トマトソース150cc、すりおろしたニンニク、コショウたっぷりを入れて強火で沸かす。味見をして塩が足りなければ入れる。
沸騰したらパスタを入れて煮込む。中火くらいで。水が少なくなれば足す。
パスタが出汁を吸ったら味見をして塩を調整。問題なければ皿にGO!
あればチーズを削って旨味をプラス。カリオストロの城のクラリスのような存在。パンチの効いたトマトソースが一気に丸くなって、まろやかになる。
お皿に盛ったらイタリアンパセリを添えて、お好みでオリーブオイル。シャキシャキ食感の鶏肉が、あなたの心を盗みます。
カリオストロの城のミートボールパスタ(ワンパン)の食材
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ゴッドファーザーのミートボールパスタも作ろう
カリオストロのミートボールパスタを作ったら、ゴッドファーザーのミートボールパスタも作ろう。泥棒からマフィアへのイタリアン駅伝。ミートボールパスタは犯罪者を魅了する蜜の味。名前からして超オトコ飯に思えるが、実は愛に溢れたこども向けのミートボールパスタ。お子様がいる家庭は「ゴッドファーザーのミートボールパスタ」を。
最後までご覧いただき、あリガトーニ。