幼稚園や小学生の頃『アナトール、工場へ行く』という絵本が大好きだった。ねずみのアナトールがチーズ工場に忍び込んで、チーズを黙って食べる代わりに、味の批評を残していき、その通りに味を変えると工場はたちまち評判となる物語。無類のチーズ好きになったのはアナトールの絵本。以前、チーズの王様として「エダムチーズのパスタ」を紹介したことがある。
今回紹介するのは世界三大ブルーチーズのひとつ「ゴルゴンゾーラ」を使ったパスタ。ロングパスタでもいいが、飲食店でもショートパスタで提供される。
青カビのチーズは苦手な人も多いが、チーズの旨味とコクを堪能するには最適。アナトールのように大好物の人も、苦手な人もぜひ一度作って欲しい。
ゴルゴンゾーラチーズ
エダムがオランダの王様なら、イタリアの王子様はゴルゴンゾーラ。クセ強チーズ。「ゴルゴンゾーラ」の名前の由来はミラノ近郊のゴルゴンゾーラという村だが、現在は製造されていないらしい。放牧に出ていた牛をこの村で休憩するときに絞って作ったことが発祥とか。パルミジャーノやペコリーノ、モッツァレラのほうがメジャーだが、味でいえばゴルゴンゾーラの足元にも及ばない。塩味が控えめでクリーミーなのに旨みが強い。フランスの『ロックフォール』、イギリスの『スティルトン』と並んで世界三大チーズと呼ばれている。アナトールは「ブルーチーズ」と種類の名前で呼んでいたが、あれはゴルゴンゾーラだったはず。口に入れた瞬間、舌の大地を這うように広がるアオカビの芳香がたまらない。
ゴルゴンゾーラのクリームペンネの材料
このパスタは日高良美シェフのレシピ。ロングパスタでも良いらしいが、ペンネが美味しすぎて何度もヘビロテしている。好みはあろうが、まずはペンネで試してほしい。ゴンゴンゾーラには青カビが多く辛味の強いも「ピッカンテ(piccante)」と、クリーミーでミルクの甘味のドルチェ( dolce)があるので、間違わずピッカンテで試すように。でないとアナトールが悲しむ。ブルーは熱い色。
ゴルゴンゾーラのクリームペンネのレシピ
生クリームはあまり煮詰めず、できるだけ余熱でチーズを溶かすことがポイント。余熱で、米津玄師でと覚えてください。材料もシンプル、作り方もシンプル。技術は必要なし。アナトールも喜ぶペンネを作ろう。窮鼠はチーズの夢を見る。
パスタは道具にこだわるほど美味しくなる、楽しくなる、愛おしくなる
最後までご覧いただき、あリガトーニ。