日本の家庭パスタといえば、真っ先に出てくるのがミートソース。パスタを茹でて、出来合いのミートソースをかけて完成。それだけで十分に美味しい。主婦の心強い味方。子どもの頃からミートソースで育った人は多い。吾輩もその一人。ただし、心もパスタも歳を取るほど成長したい。インスタントソースではなく、ちょっと手間をかけよう。呼び方もリッチに「ボロネーゼ」でいこう。ショパンの「英雄ポロネーズ」に似ている。ボロネーゼは手間がかかる分、パスタの奥深さ、飲食店より家庭のほうが美味しく作れる理由を教えてくれる。
ボロネーゼの深い歴史と文化
ボロネーゼ( bolognese)とは、タマネギやニンジン、セロリなどの香味野菜をソフリット(炒め)し、トマトソースや挽肉、ワインを合わせたボローニャ地方発祥の郷土パスタ。フランスではボロネーズ (sauce bolognaise) と呼ばれる。正式名称は「ラグー・アッラ・ボロニェーゼ(ragu alla bolognese)」。ちょっと舌を噛みそうになる。要は「ボローニャ風」という意味。挽肉ではなく豚肉のパンチェッタを使うこともある。
ボロネーゼ発祥はボローニャ
ボロネーゼは、北イタリアのボローニャ発祥のパスタ。「肥満の街 (La Grassa)」と呼ばれたボローニャの裕福層がフランスのラグー(煮込み料理)をもとに肉や野菜、ワインなどを贅沢に使用して作らせたのが起源とされるが諸説ある。
ボロネーゼはタリアテッレを使う
ボロネーゼの故郷ボローニャでは、麺は平打ち麺のタリアテッレを使う。通常の円形のパスタを使ったものは、ボロネーゼと呼ばない頑固者も多い。たまに日本のレストランでもフェットチーネを使ったボロネーゼを見るが、日本人には円型のパスタのほうが美味いと感じる人が多い。
ミートソースとの違い
結論、呼び方が違うだけで材料は同じ。ミートソースも挽肉とトマトを煮込んで作るのでボロネーゼと同じ。ただし、ミートソースは煮込みの手間がかかるから家庭では出来合いのソースを買って作る。一方のボロネーゼはミートソースではなく「ラグーソース」と呼ぶ。「ラグー」とはフランス語で「煮込み」。つまりボロネーゼとは煮込みパスタ。しっかり煮込んでこそ「ボロネーゼ」と呼べる。
ボロネーゼ
まずはオーソドックスなボロネーゼ。煮込みパスタというより焼き、炒めに重きを置いている。いわゆる「ミートソース」とは味も食感も大きく違うことを感じられる。
ボロネーゼの材料・食材
- 2.2mmのパスタ:100g
- 牛豚合びき肉:100g
- ナツメグ:2振りほど
- 玉ねぎ:1/4個(50g)
- ニンニク:1片
- トマトソース:100g
- 赤ワイン:30ml
- チーズ:6g(仕上げ)
材料やレシピはピアットスズキの鈴木弥平シェフのをベースに自分流にアレンジ。鈴木シェフは無塩バターでコクを出すが、バターがなかったので使わなかった。ローリエがある人はプラスして旨味や香りを引き出す。アクアパッツァの日高良美シェフがおすすめしていた。大事なのは太麺。ミートソースの強い旨味を受け止めるにはパスタも強靭さが重要。日本に多い1.6mmでは痩せすぎ。トマトソースはトマト缶やトマトピューレなどでもOK。
ボロネーゼのレシピ・作り方
- 玉ねぎをみじん切りにする
- 鍋でニンニクを炒め、玉ねぎを加えて弱火で炒める
- ボウルに挽肉、ナツメグ、塩、コショウを入れて粘りが出るまでこねる
- 玉ねぎ、ニンニクを避けて肉を強火で加熱
- 肉に焼き色が付いたら中火にし、崩しながら水分が飛ぶまで炒める
- 火を止めて赤ワインを加え、全体をなじませる
- 玉ねぎひき肉を混ぜ、トマトソースを入れて加熱
- 茹でたパスタを投入し、茹で汁を加えながら全体を絡める
- 皿に盛り付け、オリーブオイル、パルミジャーノの雪を降らせる
ニンニクは潰すだけ。玉ねぎをみじん切り。
ニンニクをそのままオリーブオイルで炒める。沸騰したら火を止めて余熱でホクホクするまで放っておく。
みじん切りした玉ねぎを弱火でじっくり炒める。弱火がポイント。
色が茶色になるまで。低い温度で炒めることをソフリットといい、野菜の甘みが引き出される。
挽き肉の全体に塩、胡椒、ナツメグを一振りする。ナツメグは風味が良くなるが、なくてもOK。肉が繋がって、持ち上げても崩れないようになるまで、よくこねる。
玉ねぎ、ニンニクを避けて挽き肉を強火で加熱。ここで火力が弱いと焼き色がつかず、蒸されてしまい、肉の嫌な匂いが出る。焼き色が旨味になる。
焼き色が全体についたら肉をほぐす。
赤ワインを30cc入れて水分が飛ぶまで炒める。
玉ねぎとニンニクを入れ、トマトソースを入れる。
茹でたパスタをよく混ぜる。
お皿に盛ってオリーブオイルを回しかける。
最後にチーズを削って完成。手間をかけた分の旨味がプラスされるから。これがパスタを自分で作る意味。優雅で贅沢。ショパン「英雄ボロネーズ」の旋律。反田恭平さんの演奏を流しながら食べるとたまらない。
赤ワインと合わせて飲みたい。エレガンスが強くなる。
↓↓↓ボロネーゼの食材↓↓↓
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冷凍生パスタ、パスタソースのボロネーゼ
ボロネーゼは美味しいが、いかんせん手間がエグい。作るのが面倒な日は冷凍パスタやレトルトでボロネーゼを味わいたい。そんな時の強い味方を紹介。
日清もちっと生パスタ(冷凍)
パッケージはこんな感じ。割とスペースを取るので冷凍庫のスペースは空けておきましょう。仕事の合間のランチや仕事終わりに食べようと会社の冷凍庫に入れたら、生パスタだけでいっぱいになり周りの社員から文句を言われた。
調理は超簡単。パッケージを空けて生パスタを取り出し、耐熱の皿に乗せて500Wの電子レンジで5分30秒チンするだけ。ボロネーゼは家庭で作ると1時間近くかかるので、ありがたい。
パスタは麺が主役であることを教えてくれる。モチモチの食感がボロネーゼのソースを飛躍させる。自分でパスタを作ってなかったら仕事の昼休みはヘビーローテーション確実だった。さすが日清さん。いい仕事してます!
青の洞窟(レトルト)
レトルト食品は《青の洞窟》シリーズから。マルエツで324円(税込み)
ボロネーゼをレトルトで再現できるなら奇跡。果たして結果はいかに。
パスタを茹で、青の洞窟のパスタソースを鍋で4分温めて混ぜる。麺はフェットチーネを使った。イタリアでは平打ち麺を使わないと「ボロネーゼ」と認めない保守派が多い。
所詮はレトルトと馬鹿にするなかれ。トマトやワインの酸味がちゃんと仕事してミートソースの上をいく。限りなくボロネーゼに近い褐色。レトルトでこの美味しさは脱帽。ズボラ飯の強い味方。
その他のおすすめボロネーゼ
ショートパスタの塩ボロネーゼもおすすめ
塩ボロネーゼの材料・食材
- コンキリエ:100g
- 合挽き肉:70g
- マッシュルーム:1/2パック70g
- 青森県産のニンニク:1片
- 顆粒コンソメ:小さじ1
- 薄力粉:小さじ1
塩ボロネーゼのレシピ
- ニンニクはみじん切り
- マッシュルームの黒い部分を取り除く
- マッシュルームもみじん切りにする
- オリーブオイルで合い挽き肉をカリッと焼く
- 黒胡椒を10カリカリくらいして味を引き出す
- 肉が色づいたらニンニクを入れて炒める
- ニンニクの香りが立ったらマッシュルームも入れる
- コンソメ、薄力粉を小さじ1を入れる
- パスタの茹で汁を50cc、茹でたパスタを入れる
- 火を止めてグルグル和えて、お皿に盛る
トマト無し赤ワインのボロネーゼもおすすめ
赤ワインのボロネーゼの材料
- バリラ1.6mm:100g
- 牛豚合い挽き肉:80g
- 玉ねぎ:1/4個
- ニンニク:1片
- 赤ワイン:200ml
- 水:350cc
- コンソメ:小さじ1半
- ハチミツ:小さじ1
- ナツメグ:3振り
- バター:10g
- 黒胡椒.:たっぷり
赤ワインのボロネーゼのレシピ
- 玉ねぎ、ニンニクみじん切り
- 塩コショウした合い挽き肉を炒める
- 肉をほぐしてニンニクを入れる
- 玉ねぎを透き通るまで炒める
- 赤ワインを入れて完全に煮詰める
- 水、塩、コンソメ、パスタを茹でる
- ハチミツ、ナツメグ、バターを混ぜる
- 皿に盛って黒胡椒をヌートバー
納豆ボロネーゼもおすすめ
納豆ボロネーゼの材料
- 生パスタ:150g
- 納豆:1〜2パック
- カゴメのミートソース:1缶
納豆ボロネーゼのレシピ
- 生パスタを茹でる
- 納豆をかなり混ぜて炒める
- ミートソースを混ぜる
- 茹でた生パスタを混ぜる
パスタは道具にこだわるほど美味しくなる、楽しくなる、愛おしくなる
最後までご覧いただき、あリガトーニ。