ゴッドファーザーの故郷シチリアにはパン粉を使った郷土料理のパスタがある。炒ったパン粉にアンチョビ、ニンニクが加わればチーズに負けないリッチな味わいとなる。しかも、サクサクッとした食感や香ばしさがたまらない。超シンプルで簡単。超美味い。南イタリアの底力を味わってほしい。映画の神様チャールズ・チャップリンの言葉がある。「人生には、ひとかけらのパンと少しの勇気と愛があればいい」
パン粉(モリーカ)のパスタの文化
パン粉のパスタとは、パン粉にアンチョビ、ニンニクを加えて作ったスパゲティ。イタリア語でパン粉(正確にはパンの白い部分、パンくず)は、「 mollica(モリーカ)」。パン粉を使ったパスタは「Spaghetti con mollica」または「Pasta e mollica」と呼ばれる。発祥は定かではないが、チーズが高級で買えない貧乏人がパン粉を使って料理したことがきっかけとか。そのため、現地では「貧乏人のパスタ」として知られる。
シチリアの町シラクーザ
ピアット・スズキの鈴木弥平シェフがイタリア修行時代に、シチリアのシラクーザという港町の「ヨニコ」と言う店で修行し、まかないでパン粉(モリーカ)のパスタを作っていた。
パッパと作れるので二日酔いに食べたくなる思い出のパスタ。鈴木シェフ曰く、ペペロンチーノを超える背徳のパスタ。
ちょっと小腹が空いたら小さいフライパン一つで作れてしまう。暇があればパン粉を炒めよう。
パン粉(モリーカ)のパスタ
イタリアンパセリを加えたパン粉(モリーカ)のパスタ。これが基本。これが王者。
パン粉(モリーカ)のパスタの材料
- ガロファロの1.7mm:100g
- パン粉:30g(お好みで)
- ニンニク:1片
- アンチョビ:1フィレ
- イタリアンパセリ:1束
パスタは太いほどいい。パン粉の旨みやサクサクの食感に合うように1.7mm〜2.0mmくらいがおすすめ。ニンニクやアンチョビはもっと多めでもOK。パン粉の量もお好みで。イタリアンパセリはなくてもOK。パン粉、ニンニク、アンチョビの三銃士で十分。
パン粉(モリーカ)のパスタのレシピ
- イタパセ、ニンニクをみじん切り
- フライパンでパン粉を炒る
- パスタを茹ではじめる
- ニンニク、イタパセの茎を炒める
- アンチョビを炒める
- イタパセの葉を炒める
- 皿に盛ってパン粉をまぶす
イタリアンパセリとニンニクをみじん切りにする。イタパセの茎は旨みが詰まっているので捨てるなんて、もってのほか。
オイルなど何も引かず、パン粉を空焚き。焼くのではなく、炒るイメージ。香ばしい匂いを引き出してあげる。
しっかり色づくまで炒める。写真よりもっと炒めてもいい。いい感じになったらバットによけておく。
オリーブオイルを引いてニンニクとイタリアンパセリの茎を炒める。パン粉を炒めてフライパンが熱々なので火はいらない。火力が強いと焦げちゃうので注意。
ニンニクがボディビルダー色になってきたらアンチョビを1フィレ入れる。アンチョビは焦げやすいので、弱火でじっくり。アンチョビをつぶして美味しいソースを作る。
茹でたパスタを入れて混ぜる。火を止めてイタリアンパセリの葉を入れる。
お皿にもってパン粉をこれでもかと、たっぷりプリプリまぶして、上からオリーブオイルをかける。これだけで信じられないほど美味い。サックサクのパン粉が待っている。
ピアットスズキの鈴木弥平シェフが働いていたシチリアの店ではパスタをクルクル巻いて横向きに盛る。これもオシャレなのでやってみてほしい。
↓パン粉(モリーカ)のパスタの食材↓
パン粉(モリーカ)とイワシ缶詰のパスタ
シチリアで愛されている食材がイワシ。パンと炒めた郷土料理”ベッカフィーコ”やイワシのパスタも多くある。魚をさばくのは大変なので、イワシ缶詰でパスタを作ってみたい。先に言っておくと、これがミシュランのお店のパスタより美味しいからビックリ。しかもワンパンチで。イワシ缶詰よ偉大なり。
パン粉(モリーカ)とイワシ缶詰のパスタの材料
パスタは何でもよし。お好みで。イワシ缶詰も味噌煮だろうが水煮だろうがお好みで。パン粉の量もお好みで。そう、お好み最強。
パン粉(モリーカ)とイワシ缶詰のパスタのレシピ
- パン粉を中火で炒めて避ける
- みじん切りニンニクを炒める
- イワシ缶詰を入れて炒める
- 水を沸かしてパスタを茹でる
- オリーブオイルを回しかける
- 皿に盛ってパン粉の魔法を振りかける
オイルを引かずにフライパンでパン粉を中火で炒める。
パン粉がボディビルダー色になってきたら火を止めて余熱で焼き色をつける。ニンニクが焦げないようにフライパンを少し冷ます意味もある。
パン粉が色づいたら避暑して、みじん切りにしたニンニクをオリーブオイルで炒める。フライパンが熱いので弱火ですぐに沸騰する。
ニンニクもボディビルダー色になってオリーブオイルに香りが移ったらイワシ缶詰をぶちまける。
ざっと火が通って煮詰めればOK。
水350ccを入れてパスタを茹でる。このままでも美味しいが、塩魔大王は塩を2つまみほどすると良い。
パスタを茹で上げたら味見。もし薄かったら塩を振りかける。
お皿に盛ってオリーブオイルを時計回りにトリプルアクセル(3周半)。映画『パラサイト』に倣って時計回りでセクシーに回しかける。
最後にパン粉をたっぷり。魔法をかけたら本当に飲食店より美味しいパン粉(モリーカ)とイワシ缶詰のパスタができる。ていうか店でも出せばいいのに。
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もうひとつの貧乏人のパスタ
日本やイタリアで「貧乏人のパスタ」といえば、ポヴェレッロが圧倒的に有名。スパゲティ、卵、チーズの3つを使ったパスタ。これは今ではナポリの郷土料理とされる。
ナポリの貧乏人のパスタとは味も食材も何もかもが違う。日本で言えば、関西風と広島風のお好み焼きの違いと同じ。あと玉ねぎの貧乏人のパスタもある。
最後までご覧いただき、あリガトーニ。